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今回の一押しは「ATOK(エイトック)」だあ!

2005年03月14日

 先月、ワープロソフトの一太郎が製造販売を禁止されるというニュースが報道されました。
 びっくりしましたねぇ。本当にそんなことになるんだろうか。長年のユーザーである私としては、一太郎が使えなくなっちゃうとすごーーーーく困ります。本の執筆も原稿も、この一押しコーナーも、みんな終わりになっちゃう。もう訴えてやる!って訴えられてるか…。まあ、コトの成り行きはもう少し見守ることにして、今回はこのニュースでひらめいた日本語変換の話を少し致しましょうか。

 ワープロソフトには「日本語変換システム」がつきものですが、その日進月歩ぶりは大変なものですね。以前は「歯医者に行く」と入力した後で「はいしゃふっかつせん」と入力すると必ず「歯医者復活戦」と出たものです。これは学習機能とかいう直前に使用した単語が優先するシステムによるもののようですが、アップダウンクイズじゃあるまいし(古いね俺も)歯医者が復活してどうする、というわけで、今ではちゃーんと「敗者復活戦」が必ず、一発で、出てきます。

 これって大変なことですよ、本当に。ジャストシステムの開発部のみなさまの血と汗と涙のご努力の賜物でしょう。でもね。他社のソフトがどうなのかは知りませんが、悲しいかな、あちこちで見かける漢字の変換ミス。意外に多いのが「以外」と「意外」。「〜を除いて」と「思っていたのと違う」では意味が全然違うのに、もうそこいら中で「それは以外でしたねー!」なんて使われてる。
 私の事務所でも、新入社員は決まって「税務所」と書きます。「てめー、ぜいむしょのしょは所じゃなくて署なんだよ。刑務所に入れるぞ!」と心では思っても、「恥ずかしいから今度から気をつけようねー」なんてニコニコしながら言ってしまいます。あ、これは変換ミスの話じゃありませんでしたー。
 ちなみに今調べてみたら、「署」というのは特定の仕事を受け持つ官庁のことで、警察、消防、税務は「署」がつき、何でもやる役所は「市役所」「区役所」なんですねー。いや、このコーナーすごく勉強になる(笑)。

 私の仕事の関係先に「朝日エル」という会社がありまして、先日「あさひえる」と入力して変換キーを押したら「朝冷える」と出ました。その日は本当に寒い日で(嘘じゃありませんから)、私はその字を見たとき「このパソコン、もしかしたら生きてるのかも」と思ってしまったのです。面白いですねー。仕事中にこういうのを発見すると、なんか少し幸せになれます。
 ついでだから言っちゃいますが、みなさん「おしょくじけん」と聞いてどんな漢字を頭に浮かべますか?「お食事券」が浮かんだあなた、幸せな人です。間違いありません。そんなあなたが鬱病だとかストレスで胃が痛いとか言っても、私は信用しませんよ。
 でももう一つ、「汚職事件」というのもあるんですねー。この二つの言葉、発音もアクセントも全く同じでしょ?発音してみて?ねー、不思議。

 なんか段々面白くなって来ちゃった。ここのところ休みなく働き続けて頭もぼーっとしてきたし、もう今回は気品をかなぐりすてて突き進んでみましょうか。

 矢沢栄吉さんのテレビCMで「シャバダバよ〜」というのがありましたよね。アミノ酸まとめてドン、というのも。あれって好きだなぁ。
 でもシャバダバってなんなんでしょ。さっぱり分かりませんね。そんなことを人に聞いても仕方がないし多分誰も分からないでしょうから、結局そのままなんですが、でも矢沢さんがこちらを向いて「シャバダバよ〜」とつぶやくと、なんか面白くてにやっとしてしまう。だから何かとても強いニュアンスがこちらに向かって発せられているわけですね。

 シャバダバという言葉には、私には忘れられないイメージがありまして、それは日本テレビの「11PM」という番組のテーマ曲です。ご存じの方も多いと思いますが、男女混声のスキャット曲でひたすら「シャバダバー」を繰り返すジャジーで斬新ないい曲でした。これが聞こえてくるとちょっとエッチな大人の番組が始まるので、見たいし親の目は気になるしで、もうソワソワドキドキ。今から思えば実に他愛ない内容だったのでしょうが、子供の頃の私にはかなり刺激的な時間でした。

 その11PMの司会をされていた大橋巨泉氏が登場したテレビCMで、「はっぱふみふみ」というのをご記憶の方も数多くいらっしゃるでしょう?わたし、あれが見たくて見たくて仕方がなかったのでした。
 丸顔で、七三分けで、黒メガネをかけた大橋氏が、譜面台を前に置いて万年筆でなにやら書き込みながら「ミジカビの キャプリキとれば スギチョビレ スギカキスラの ハッパフミフミ」と和歌みたいなヤツをつぶやき、最後に「わかるね?」と吹き出しながら言う。ただそれだけで、わかるね?と言われても何だかまったく分からなくて、もう面白くて面白くて、パイロット万年筆がどの番組のスポンサーなのかなんて知らないので、坊ちゃん刈りのすだ君は白黒テレビの前にずーっと座って待っていたのです。
 あの頃の大橋巨泉さんって輝いていたよなぁ。

 それにしても言葉って面白い。

 もうずいぶん前のことになりますが、娘と二人で喫茶店に入って私はコーヒー、娘はクリームソーダを注文しました。「暑かったねー」などと話をしながら、テーブルの上に裏返しに置いてあった会計伝票をひっくり返して何気なく見ていた娘が、突然真っ赤な顔をして笑い出したのです。
 どうしたの?と私もその伝票を見てみると……なんとそこには「クソ1」と書いてありました。ウェイトレスの女の子がアイスコーヒーをI・C、クリームソーダをク・ソと略したわけです。きっとすごく忙しかったんでしょうね…。でもさあ、他意がないことは分かるけど、喫茶店でクソはないだろ、クソは。いや、これほんとの話。

 言葉って面白いけど、でもそれは言葉を操る人同士に一定の感性があっての話ですね。フィーリングが違う人と流行り言葉で会話をしても辛くなるだけ。私も?今はやりの?意味もなく語尾を上げる?疑問詞的な?しゃべり方?あれだけは?我慢が?なりません。あー、今こう書いただけでも腹が立ってくる。

 日本語が乱れている、とよく言われますが、語尾上げ以外にもイライラする経験が最近増えてきました。たとえば…
私「ふーん、このシャツなかなかデザインいいですね。ブルーの他にどんな色があるの?」
店員「ハイ、ありがとうございます。ブルーの他にベージュとグレーの3色でのテンカイとなっております。」
私「………。」
 なにい?テンカイ?テンカイって展開のこと?テロリスト掃討特殊部隊じゃないんだから、シャツ1枚で「展開」はちとオーバーなんじゃないの?  とか。

私「えーと。ミックスピザ1つお願いします。」
店員「はい、わかりました。ご注文のホーは以上でよろしかったでしょうか?」
私「よろしいです。」
店員「お飲物のホーはよろしかったでしょうか?」
私「よろしいです(怒)。」
店員「ピザのホーお持ちしました。」
店員「コーヒーのホーはお代わり如何ですか?」
店員「お済みでしょうか。お皿のホー下げさせていただきます。」
私「………。」
 っるせえなあ。ホーホーホーホー言うな。きさまフクロウかぁ? とか。

 あー、イヤだイヤだ。早く仕事終わりにしてレイトリーに行ってマスターと遊ぼうっと。
 というわけで今月の一押しは…って、いったい何の話をしてたんだか分からなくなってしまいました。たまには?一押しのホーが?なくても?よろしかったでしょうか…。うわ最悪。というわけで、ジャストシステム様に敬意を表した今回の一押しは「ATOK」でした。頼むから裁判負けないでねー。
 ここんとこ本当に忙しかったのよ。今月はこのくらいで勘弁してちょ…

(注) ATOK(エイトック)とはワープロソフトの一太郎についている日本語変換システムのことです。


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