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今回の一押しは「ダイナミックコイン」だあ!

2005年11月20日

 ここのところ急に寒くなってきましたね。北国からは雪の便りも届き始め、また一つ季節が進んでいくのを実感します。紅葉の色も濃くなり、冬一番が吹いて落ち葉が舞い散ったりすると、毎年のことではありますが何となく切ない気分になってしまうのは私だけではないはず。というか、私だけじゃないよね?ね?ね?ね?
 不思議なもので、普段シャンソンなんて全然聴かないのに、冷たい風に吹かれると枯れ葉よ〜♪なんていうメロディが頭に浮かんできます。こんなことを繰り返しているうちにいつの間にか自分も枯れ葉になって、ご用済みのゴミとして捨てられてしまうのかなあ…。いかんいかん、どうも気分が沈みがちです。少し話題を変えましょう。

 私、ひょんなことから先日、手品用品を一つ手に入れました。王様のアイデアというお店の前を通りかかったら、すごく面白そうなビデオが写っていまして、それが手品の紹介CMだったのですね。まんまと引っかかった私は、売り手の思い通りの行動を取ります。すなわちビデオを見て「ほー!」と感心して。テレビモニターの横に置いてある商品を手に取って。しばらく迷って。一旦そいつを棚に戻して。またしばらくCMを見て。再度商品を手にして。もう一度迷って。心の中では「いい年して手品かよ」なんて思って。でもついに決心して。黙ってそいつをレジに運んで。ちょっと顔を赤らめつつ小さい声で「これ下さい」とか言って。お財布を出して。品物を受け取って。
 その間、せいぜい10分程度だったでしょうか。
 
 ところが今回購入した手品は、驚くほど良く出来ていまして、練習なんてしなくてもまるでプロの手品師みたいな鮮やかなマジックがやれるのです。私も今までに何人かの方の前でご披露したのですが、「ちょっと手品見ますか?」なんて言って始めると、最初は冷ややかな顔をしたり、ちょっと小馬鹿にしたような表情をしていた方が、というか、そういう表情をする人ほど凄ーいリアクションをしてくれます。目をむいて「えーー?!?!?!」とか、「なんで〜〜〜??」とか、「まじぃぃぃぃ???」とか。
 この落差はたまりません。スリリングです。ちょー快感です。プロの手品師さんの気持ちが少し分かったような気がします。でも市販の手品の自慢をしても仕方ありません。それより今回私が手品をやってみて強く感じたことは、種明かしについての諸問題なんです。

 諸問題というほどのことではありませんが、手品をやるとその場にいる人はみんな凄く喜んでくれて、そしてその後で、当然のことながら「どうなってるの?」「種明かしして!」という話題になります。ところがこの「タネを知りたい」という欲求は、私の少ない経験に基づく調査では、男性に比べると女性のほうが、年配の方より若い方のほうが強いという結果が出ました(笑)。そしてその結果から、私はある一つのことに思い当たったのです。
 それはね、唐突かもしれませんが、「年を取る」というのはどういうことか、ということなんです。

 話は全くそれますが、しばらく前にツーカーのカンタン携帯電話のテレビCMが流れていたのをご存じでしょうか。小林桂樹さんと藤岡琢也が登場するやつで、いろいろなバージョンがあるようですが、私はその中で小林桂樹さんがケータイを取り出すと藤岡さんが「難しいんだろー?いろいろと」と声をかけ、小林さんが自慢げにピピッと操作すると藤岡さんが「簡単じゃねえかぁ!」と天を仰ぐシーンと、お二人の「自分じゃなかなか買わないよなぁ?」「自分じゃなかなかねぇ」という掛け合いにいたく感心しておりました。
 さすが名優のお二人、そのおじいちゃん振りは眼の動きから笑い方に至るまで本当に大したものだと思いますが、そこで使われている「難しいんだろ?いろいろと」や「自分じゃなかなかねぇ」というセリフにも重要なメッセージがあるように思います。
 これはなかなか面白くて応用が利いて、私はいろいろなシーンを勝手に想像して楽しんでいるんですが、たとえばこんな感じ。
官邸にて
 総理「君に財務大臣をお願いしたいんだが…」
 大臣「難しいんだろー?いろいろと」
 総理「この難局を乗り切るには君の力が必要なんだ!」
 大臣「自分じゃなかなかね〜」 とか。

事務所にて
 私「おーいA、お前この会社の引当金の計算どうしたの?」
 従業員A「難しいんでしょ?いろいろと」
 私「難しいんでしょって、自分で調べれば分かるだろ?」
 従業員A「自分じゃなかなかね〜」 とか。

 いや、実に面白い。いろいろな場面で使えますぞ、このセリフは。なんて思いつつ、一人でこれを何回も使ってニヤニヤしていたら、このときにもふと思いつきました。そうか、これが年を取るということの証拠なんだ…と。

 年を取るということ。あまり考えたくない、つらく悲しいテーマですが、でもこうしている間にも時計の秒針は1秒1秒刻み続け、すべての生命は等しく、公平に、老化していきます。物理的、肉体的な老化現象については、そういう意味では考えてみても仕方ないことなのかもしれませんが、しかし同じ肉体年齢でも人によって老化の進み具合が大きく異なることは、皆さんもあちらこちらで経験されていますよね。
 私の周りにも、実年齢よりも10歳以上は若く見える人が何人もいます。そして最近気がついたのですが、その人達に共通するのは、@何にでも好奇心を示す傾向がある、またはA何か継続している趣味を持っている、のいずれかあるいは両方のキャラクターの持ち主である、ということです。若さを感じるというのは、もちろん髪の毛の色や量、皮膚のしわ・しみ、ファッションなどにも関係しますが、どんなにしわくちゃでもツルツルでも、目が輝いていて会話が弾む人って若く感じませんか?   
 
 これに対して20代30代の人でも、なんだか猫背で覇気がなくてパッとしない、見るからに老け込んじゃった人も結構います。そしてそういう人に共通するのは、何を問いかけても乗ってこない、こちらが発する刺激に反応しない、という感じ。
 そうです。何か目新しいことに出会っても「難しいんだろ?いろいろと」と言って自分がやらずに済む言い訳を考えたり、あるいは「自分じゃなかなかね〜」と手を出そうとさえしない。物事に対したときのこのようなスタンス、これこそが憎き「老化現象」のひとつの典型ではないでしょうか。これは年齢には関係ありませんよ。
 
 あなた、まさか炬燵にもぐってミカンむいてテレビばっかり見てたりしてないでしょうね?面白そうなことに出会ったときに、瞬間的にそれにのめり込まないための言い訳を考えたりするなんてことは?手品や不思議な出来事を見たときに「どうせタネがあるに決まってる、くだらないね」などと小馬鹿にする傾向があったりしません?
 こういうのはみんなマズいですよ。「若い」ということを別の言葉に置き換えるとすると、「しなやか」というのが一番ピッタリくるような気がしますが、しなやか、弾力に富む、みずみずしいなどの言葉に共通するのは、刺激に対する反応が強くて早い、ということではないでしょうか。
 ですからたとえば他人とのちょっとした会話でも、そこから刺激を受けて対応し、そして自分が変化する。感銘を受けた書物や人物によって、自分の生き方を修正する。そういうことができる人は間違いなく若い。人のアドバイスを聞いて軌道修正できる経営者はビジネスも成功しますが、最初から自分の答えを用意していて何を言われても聞き入れない人は、頑固という以前にクソじじいです(私は上品なので女性に対する類似語は使いません)。

 まあ時と場合によっては、クソじじいが成功する例がないとは言いませんが、せめて日常生活においては柔軟でしなやかな感受性、思考回路を持ち続けたいものですよね。というわけで今月の一押しは、私に若さの何たるかをいろいろと考えさせてくれた手品用品「ダイナミックコイン」でした。テンヨーから、2,100円で販売されています。家族に相手にされなくなったおとーさんは是非一度おためし下さい。

 しかし世はまさに女性の時代ですよね。先ほどのクソじじいではありませんが、私の場合、老け込むという言葉を聞くと大概男性をイメージします。女性は大多数が「若さを保つ」ということに非常に強い関心を持っていますし、流行やゴシップにも敏感で、いつも何か刺激を求めている。これに対して周囲の目を気にしなくなった男というのは、煮ても焼いても食えないというか、箸にも棒にも引っかからないというか。平気でパジャマ着たまま家の周りをウロウロ歩いたりする。いやですねえ。
 あれ?そう言えば私、この前の日曜日に庭の掃除したとき、まさかパジャマじゃなかったよなぁ。よく覚えていないんだけど…。そう言えば最近、記憶がはっきりしないことがときどきあるんですけど、これって………


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