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今回の一押しは「アミノバイタル」だあ!

2005年12月25日

 季節は師走。時は瞬く間に過ぎ去り、また一年が終わろうとしています。今年もいろいろな出来事がありましたが、皆さんにとってはどんな一年でしたか?毎月中旬を目途としているこのコーナーの更新も、なぜか今月は目先の雑事に流されてクリスマスまで延ばしてしまいました。ごめんちゃい。
 
 私は過去を振り返ることをしない性分なので(ものは言いようですなあ)、こんなことを言うと出版社の人に叱られそうですが、自分が書いた原稿など活字になってからはあまり読み返しませんし、日記も付けたことがありません。何事も始める前は一生懸命で、やっている最中も相当集中し燃焼していると自分では思うのですが、終わってしまうと「もぬけの殻」。何も覚えていないということがよくあります。日常のスケジュール管理は携帯電話に上限100件で登録しているだけなので、だいたい1ヶ月ちょっと経つと前の月のデータを消去しなければなりません。だから去年の今頃何をしていたかなんて、さっぱり分からない。
 自分のことでさえその程度ですから、世の中に起きた様々な出来事を振り返るなんて、もう殆ど不可能に近いです。「今年最も印象に残った出来事は?」などと質問されたら、頭の中は真っ白けのけ、きっと一言も出てこないんじゃないかな。そういえば新潟で凄い地震があったのは、あれは今年?去年?なんて言ってしまいそうなレベルです。テレビなどで、さまざまなコメントを立て板に水のようにしゃべっている人たちを見ると「すごいなー」と心の底から感心してしまいます。

 とはいうものの、私にとってこの「一押し」コーナーはいわば日記帳のようなものですから、個人的な出来事は過去の記事を見ると結構鮮明に思い出せます。お陰様で今年もいろいろな方のお世話になり、鎌倉のハイキングコースを歩いたり、京都や北海道を旅したり、ときにはミュージシャンやマジシャンに変身したりしながら、どうにか無事に生きてきました。私とご縁のあった皆さん、本当にありがとうございます。これで思い残すことなく、あの世へ旅立てます。ほんじゃ、さいなら。いや、そうじゃなくて。

 今年は、世間ではいやな事件ばかり起きましたね。電車がマンションに突っ込んで大勢の人が亡くなったり、可愛い盛りの幼い子供が次々に殺されたり、いんちき構造計算書のせいで何十棟というマンションの住民が路頭に迷ったり…。先日、ある知り合いの社長さんが「まったく、あのアゲハっていう建築士はけしからんな!」とカッカされてましたが、笑い事ではありません。
 一生を託すつもりで人生最大の買い物をしたら、それが使い物にならない欠陥品だったなんて。心配だから第三者に調べてもらったはずが、権威ある検査機関もほとんどノーチェックだったなんて。何も悪いことをしていない人が、ある日突然地獄の底へ突き落とされるような恐ろしい出来事です。当事者の皆さんの多くは、きっと日本という国に絶望し、ご自身の将来を悲観されているでしょうね。

 いったい、いつの間に日本はこんな国になってしまったんでしょう。少なくとも私が子供の頃は、ここまでひどくなかったような気がする。もちろん今だって見識と節度のある立派な方も大勢いらっしゃいますが、国全体の意識というか考え方というか、そういうモラルのレベルは相当低くなってしまったように思えてなりません。自分だけよければいい。他人の苦しみなんて想像すらできない。そういうヤツが次から次へと登場してくる。
 このままじゃ我が国の将来が心配だ、いったいどうすればいいんだろうと漠然とした不安に駆られていたとき、私の前に一冊の本が登場してくれました。それは「「責任」はだれにあるのか」という小浜逸郎さんという批評家が書かれた本です(PHP新書)。とても示唆に富んだ素晴らしい著作ですが、その中でも私が強く共感した一節をご紹介しましょう。

「2005年4月に起きたJR福知山線事故は、私たちの記憶にまだ新しいところです。(中略)JR西日本当局が開いた記者会見の場で、一部の記者達の間から「人が死んでるんやで」「謝れば済むと思っとるんか」といった怒号が発せられました。厳しい責任追及の声です。
 人は、自分が責任を引き受ける立場にないときには、簡単に責任追及の声を挙げます。しかし、遺族が感情に駆られてこのような声を発するならまだしも、直接の被害者ではない立場の記者にこのような怒声を発する資格があるでしょうか。この人達は、逆に自分が追求を受ける側にいたら、そういう声を何の不条理感もなしに受け止められるでしょうか。
 私はけっしてJR当局を擁護するわけではありません。しかし、言い返すようになりますが、第三者が人の失態の責任を追及するなら、自分が失態を演じたときに第三者からそのように追求されたらどう感じるかという想像力を持つ「責任」もまた、私たちにあるのではないでしょうか。」

 その通りだ!と思わず拳を握りしめてしまいました。思うに、このような無責任追求の風潮の根源は、テレビを中心とするマスコミにあるような気がする。事実を淡々と伝えればいいものを、民法のワイドショーやニュース番組は何でもかんでも「けしからん!」「ふざけるな!」「小泉やめちまえ!」の連呼です。ふ○だちさんにしても、み○さんにしても、いつも怒った顔をしている。そうすることがご自分の仕事だと思っているんでしょうね。
 これ以上の深入りはしませんが、でも日本をよくするには、人のことに文句を言うばかりではなく、自分の発言や行動が他人に与える苦しみを想像する「責任」を一人でも多くの人が認識できるようにすることが必要だと思います。そしてそのことを私に気づかせてくれた小浜さんの著書、今月の一押しです。まだお読みでない方は是非ご一読下さい。

 そうだ、今回は年末なので今年の一押しの総決算、私が皆さんにお勧めしたいものをついでにいくつかご紹介しましょう。
 
 読書関係では、上記の他に今年は川上弘美さんと桐野夏生さんの作品をいくつも読みました。ご存じの方も多いと思いますが、川上さんはお茶の水女子大学理学部を出られた才媛で、どの作品も不思議な雰囲気に包まれています。多くの作品が、いつの時代を背景としているのか、登場人物がどういう素性なのか、よく分からないままに茫洋と進んでいきます。そして居酒屋で酒を飲むシーンが多い。それも実にうまそうに。たとえばこんな感じ。

「大根につみれにすじお願いいたします。センセイが注文した。ちくわぶと糸こんにゃくを、それから大根をこっちにも一つね。私も負けじと注文する。隣の若い男も昆布とはんぺんを頼んだ。しばらく因縁やら前世やらの話は止んで、私たちはおでんに集中した。センセイは上体を傾けたまま適宜な大きさに箸で切った大根を口に運び、わたしは少し前かがみになってそのままの大根をかじりとる。お酒もおでんも、ほんとにおいしいですねえ。わたしが言うと、センセイはわたしの頭を軽く撫でた。このごろ、そういえばセンセイはおりにふれてわたしの頭を撫でるようになっている。」 (「センセイの鞄」より抜粋)

 おでんを頬張る風景が鮮やかに浮かんできますよね。なんかとっても幸せそうで、暖かそうで、そしておいしそう。酒飲みにはたまらない描写です。
 お顔の写真を拝見すると、とても美しく知的な表情をされていますが、こんな女性がお銚子を何本も倒して飲むのかなあと、そのギャップにまた惹かれてしまいます。「センセイの鞄」は、30代の女性が高校時代の先生(したがってかなり年配)に居酒屋で出会って、不思議な恋愛関係に発展していく話です。まずこの状況設定がいい(笑)。全国のじじいを勇気づけてくれます。そしてセンスある柔らかな文体で、妙齢の女性の微妙な心の動きをほのぼのと描いています。
 「蛇を踏む」や「溺レる」なども、登場人物はなぜかカタカナの名字だけで至ってシンプル。肩が凝らずに独特の世界にトリップできるので、次々に作品を読破したくなります。是非一度お試しを。

 紙幅の関係で桐野夏生さんについてはあまり触れませんが、今年読んだ「柔らかな頬」、「OUT」、「玉蘭」はいずれもボリュームのある大作です。登場人物の顔が思い浮かぶようなしっかりとした人物描写、見事なストーリー構成、鮮やかな文章力で、読み始めたら止まりません。手に汗握る、素晴らしい作品群です。テレビドラマを見るよりよっぽど面白いので、こちらもまだの方はお正月休みに是非一度お試しを。

 つづいて音楽にいきますか。今年も相変わらずJazzを聞き続けておりましたが、そんな中で心に残るアルバムを3点ご紹介させていただきましょう。  
 まず1作目はジェイミー・カラム(Jamie Cullum)。アルバムタイトルは「Catching Tales」です。ジャズファンの中には「こんなのジャズじゃねえよー」という方もいらっしゃるかもしれませんが、まあ、固いことは言わないで。弱冠25歳のジェイミーは、その年齢からは想像もつかないようなアダルトな音楽を展開していますよ。独特なハスキーボイス、自由自在なピアノソロ、イギリスの匂いを随所に感じさせる楽曲の数々。ビートルズからジャズへと進んでいった大人の耳には、とても懐かしさを感じさせてくれるアルバムです。これは今年の一押しCD。

 つづいて私がもっとも好きなジャズギタリスト、ジョン・ピザレリ(John Pizzarelli)様のニューアルバム「knowing you」。ジョンさんは今回もダンディで、軽快でスウィンギーなナンバーを次々に聞かせてくれます。もしジャズにあまり詳しくないという方がいらっしゃったら、だまされたと思ってこのアルバムの8曲目「Quality Time」と10曲目「I Just Found Out About Love」を聞いてみてください。ジャズは難しいとか面白くない、というイメージが吹き飛びますよ。ほんとです、間違いありません。

 3番目は、ちょっとひんしゅくを買いそうだな〜。まっ、いいかぁ。中島美嘉さんの「Best」。このアルバムは、中島さんの声も素敵ですが、どの曲も編曲が本当に素晴らしい。音楽を知り尽くしたプロが作った作品だなぁ、という感じです。たとえばヒットした「Will」という曲の、サビのフレーズ「あれから僕はいくつの夢を見てきたのだろう」の部分につけられたコードは、こんな感じ。
 Dbmaj7 Dbdim/Ab/C Fm7/Gm7 C7/Fm7 Cm/Eb Cm7-5/Eb/
 うーん、テンションノート盛り沢山、なんて美しいハーモニーなんでしょう。ジャズ好きなおとーさん、J-popを馬鹿にしてはいけませんぞよ。若者に見つからないように、そっと中島美嘉さんの楽譜をゲットしてみてください。

 もうひとついきますか。読書に音楽ときたら、次は健康ですよね、何だかよく分からないですけど(笑)。
 実は私、今年から味の素鰍ニいう会社と仕事の上でちょっとしたお付き合いができまして、それがきっかけでアミノ酸というものに強い関心を持つようになりました。同社のホームページで色々勉強したのですが、アミノ酸というのは人間の細胞を構成している重要な栄養素で、生きていく上で欠くことができないもののようです。

 アミノ酸には沢山の種類があるのですが、たとえばグリシンというヤツには人間の眠りを深くする効果がある。そこで味の素さんはグリシンを主成分とする「グリナ」という商品を売り出しまして、これがまたグレープフルーツ味でとてもおいしいのですが、これを飲んで寝ると、睡眠時間が短くても寝覚めすっきり、爽快な朝が訪れるのです。
 また、健康オタクの方ならご存じの「BCAA」という言葉がありますが、これは分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acid)の頭文字で、人間の体内では作れない、したがって外から摂取しなければならない「必須アミノ酸」のうち特に筋肉に多く含まれるものなのだそうです。難しいことはともかく、要するにこのBCAAを摂取すると、筋力のパワーがアップしてスタミナアップ、疲労回復に効果があるというわけです。

 BCAAを含有する健康食品は色々ありますが、私がここのところ毎日飲んでいるのは味の素の「アミノバイタル」。最初はよく分かりませんでしたが、しばらく続けてみて実感したことは、とにかく体が軽い!ということ。以前は電車に乗るときに、降りる駅でエスカレーターがある場所を考えながら乗車したものですが、最近ではエスカレーターなんて乗ったことがありません。必ず階段をスイスイと登ります。ほんとにスイスイと。実に爽快、ウォーキングにも熱が入りまして、いまはダイエットにも挑戦中。とりあえず3sは減量しました。

 じじいになると、太っていいことは一つもありません。肥満大敵火事親父です。私もこの調子で年末年始をすっきり乗り切り、もう少し延命策を講じてみようと思っております。というわけで盛り沢山にご紹介しましたが、皆さんにも長生きしていただきたい私の今年最後の一押しは「アミノバイタル」でした。

 今年もお付き合い下さり、本当にありがとうございました。みんな、年末年始でブタにならないでねー。正月明けに会うときは「すっきりスリムで階段ピョンピョン!」。こいつを合い言葉にぜひとも素敵な正月をお過ごし下さい。
  

 


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