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今回の一押しは「マイレージ」だあ!

2006年12月25日

 12月も暮れようとしています。皆さんもお仕事や家事に追われて、何かとお忙しい毎日をお過ごしのことと思います。私の業界では、今月は「年末調整」という一大イベントがありまして、めんどくさいから中身の説明はしませんけど、従業員のみんなは毎日締め切りに追われています。
 私も、この仕事をもうウン十回もやってきまして、最初の頃は「源泉徴収制度というのは実によくできているなー」と感心し、やがて膨大なデータを短期間で整理整頓する年末調整特有のシステマチックな面白さに没頭して、たくさんたくさん仕事して、そして最近はついに飽きました(笑)。そこでここ数年は、業務のシステム化・標準化を進めてミスが生じないような体制を作り、私自身はなるべく手を出さないようにしています。

 このような状況のお陰で、12月の私は意外に時間的な余裕があるのです。毎年、日本郵政公社に積極的に協力するため年賀状を受付初日にポストに投函したり、次年度の年間予定表を作ったりしています。ところが、まずいことに今年はそれら作業が一つもできていません。というのもN出版社のYさんという方が大きな仕事を下さったせいです。
 来年春の出版に向けて、年末締め切りの約束でずーっとずーっと原稿を書き続けています。とは言っても平日はなかなか時間を作れませんので、すべては夜と週末に集中します。ここ数ヶ月の休日は、ゴルフに行く日以外はほとんどパソコンに向かっているので、好きな散歩もままなりません。夜中に銀座で大騒ぎ、なんてこともすっかり忘れてしまいました。あちこちに不義理がたまっています。運動しないので体脂肪もたまっています。今月に入ってからは、締め切りに間に合うようにほとんど休まず書き続けているので、ストレスもたまっています。あー、もう爆発寸前だーーー。
 とフツフツとしていたある日、私のパソコンに一通のメールが届きました。

 ピンポ〜ン。JALマイレージバンクより「2006年12月末に失効するマイルのお知らせ」。大切なマイルを無駄にしないように、年末をひかえたこの時期のJMBのキャンペーンと特典交換をご案内します…。
 なになに?マイルが失効する?え、12月末で?ということは年内に使わないと損をするっていうこと?そりゃーまいるなー……。
 私、恥ずかしながらマイルをため続けておきながら実はその使い方をよく知らなくて一度も交換したことがなく、3年前からのがたまっていたのです。でも今回調べてみたら、大したポイント数ではありませんでしたけど、それでも「特典航空券」というのと交換できるギリギリのところに来てるじゃあーりませんか。すげー、特典航空券って何?え、タダで飛行機に乗れるっていうこと?な、なんとそれも2区間も?ということは、日本国内ならどこでも往復できるっていうことね!!!

 それから私の心の葛藤が始まりました。
須田A「うわー、ほっかいどー行きてー」
須田B「だめだよ、だめだめ」
須田A「でもどうせ週末は原稿書きだから、パソコン持ってけば同じことだし」
須田B「だーめ!娘も試験で忙しいんだから邪魔しないの」
須田A「ホテルに缶詰めって何だか作家みたい。夜だけ刺身でも食って…」
須田B「いけませんって」
須田A「まあ、ホテルが空いてなきゃ仕方ないけど。クリックリッ(マウスの音)。あ、空いてるし…。しかも安い!オフなのかなー、1泊6,400円でスパ付きだぜ」
須田B「いい加減にしなさい」
須田A「まあ飛行機が一杯ってこともあるよね。あ、空いてるし…。うわ、定価で買うと片道3万円もするんだーー。特典航空券って6万円の価値があるってこと?すげー!クリッ!」
 というわけで、チケット予約のクリック音とともに須田Aは須田Bに打ち勝ち、2泊で総予算12,800円の札幌旅行が決定されたのでありました。
 
 早速、北海道の大学に通っている娘にメールします。
須田父「あのさー、来週そっちに行くことにしたんだけど。」 
須田娘「え?私、試験勉強で朝から夜まで大学なんだけど。夜10時過ぎとかでよければ…」
須田父「大丈夫、勉強の邪魔しないから。別に会えなくてもいいし。」
須田娘「分かった。でもご飯くらい一緒に食べようね。」
須田父「無理しなくていいから。その代わりと言っちゃなんだけど、日曜日に2時間だけ付き合ってくれ」
須田娘「は?」

 というわけで週末のある日、ノートパソコン片手に札幌に降り立った私は、まずは定宿のモントレーエーデルホフ札幌に投宿してスパでリフレッシュした後、おもむろにノートパソコンを開いてカタカタカタカタッとキーボードを打ち始めたのでありました。

 
泊まるならここ!モントレーエーデルホフ札幌  車窓からの美しい雪景色

 窓の外は雪景色。物音一つしないホテルの部屋。素敵です。集中力が増します。ここにいれば1ヶ月で1冊くらい書けそうです。締め切り間際で気持ちも乗っており、一気呵成に作業は進みます。予定のページ数は、気持ちよく達成されていきます。そこで深夜に、気分転換に札幌市内を歩いてみることにしました。
 さすがに北国、寒さで頬が痛くなります。歩道は少し前に降った雪がカチカチに凍りついており、ロードヒーティングがされていない場所では気をつけないと転んでしまいそうです。
 でも大通り公園は宝石箱のようでした。数多くのモニュメントが設置され、それらが赤や青のネオンで美しく光り輝き、その光が凍てついた地面にも反射しています。遠くから見るとルビーやエメラルドのよう。イメージはこんな感じです。

 
大通り公園のイルミネーション  すずらんの花もありました
 
 そして次の日。机にしがみついている娘を刺身定食で釣って、拝み倒して、運転手を務めさせて、どうしてももう一度行きたかったモエレ沼公園に向かいました。
 このコーナーの本年8月号でも御紹介しましたが、モエレ沼公園というのは札幌市の郊外に位置する壮大なスケールの公園で、イサム・ノグチ氏がその最晩年にデザインした、実に美しい施設です。夏の景色が北海道らしくて、爽やかで、あまりに美しかったので、できれば違う季節にもう一度訪れてみたかったのですが、マイレージのお陰でこんなに早い時期に実現してしまったのです。ほんとにうれしいです。

 忘れずに写真も撮りました。夏のスナップで強風に吹かれているポーズが、小川さんや渡辺さん、長谷部さんなど一部の方にミョーに受けましたので、同じポイントで、同じポーズで再撮影してみました。いわば定点観測ですね。どうすか、これ!


 緑のモエレ山は…             え、同じ山?


 美しい草原も…              ソリ滑り場となり


 強風の山頂も…             カチカチだー!


 プレイマウンテンは…          おーい、どこ行ったー?

 
 リズミカルな植栽も…          さみしすぎる…  

 しかしこうして写真を見ると今更ながらに感じますが、日本というのは四季があって本当に素晴らしい国ですね。なかでも北海道のそれは、季節の表情に想像を絶するほどの大きな変化があって、これが同じ場所?と自分の目を疑うくらいです。
 北海道は本当にいいところです。でも残念ながら、我が愛娘は来年3月に大学を卒業してしまうので、再びこの地を訪れる機会はきっとすごく減ってしまうでしょう。そう思うと北海道庁も、北大のポプラ並木ももう一度見ておきたくなります。帰り間際に、札幌駅周辺のツルツル滑る道をグルグル歩き回って、写真を沢山撮りました。というわけで今年最後の一押しは、私に一時の夢を見せてくれた日本航空の「マイレージ」でした。

 
 
煉瓦造りの北海道庁         北大のポプラ並木

 何にしても「これで最後かも」と思うと、いとおしくなるものですよね。ススキノに「だるま」というジンギスカンのうまい店があって何回も通ったのですが、すごくおいしいんだけど全身に脂の臭いがしみこむのが悩みの種。でもこれで最後かもと思うと、やはり避けては通れません。
 意を決して深夜に娘と二人で行ってしまったのですが、「お父さん、これ」とニコニコしながら娘がハンドバッグから出してきたものはなんとファブリーズ!そうか、その手があったか。じゃジンギスカンはこれで最後にしておこう、年内は… 

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