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今回の一押しは「おどろき北海道ゴルフ(その2)」だあ!

2007年6月29日

 6月も下旬となり、関東地方は毎日どんよりとした曇り空に覆われています。毎年のことですが、梅雨の季節は鬱陶しいですね。植物には恵みの雨ですが、スーツを着て毎日出掛ける人間様にとっては、蒸し暑くて汗をかいて、降っているんだかいないんだかよく分からないようなシトシト雨を浴びて、体の内側も外側も霧雨状態で、服はぐしゃぐしゃになるし、靴も汚れるし、あまりいいことがありません。

 おまけに週末のゴルフの日も雨。というか、週末に限って雨。とても気が滅入ります。
 ゴルフなんて、雨だったら中止すればいいのに〜、と世の奥様方はお思いのようですが、なかなかそうはいかないのです。ゴルフというのは、確かにプレー自体は自分の球を自分だけが打つ全く孤独なゲームですが、3人または4人で行動する団体戦的なところもあって、みんなが楽しみにしているのに一人だけドタキャンでもしようものなら「あいつは物事を簡単に考えている」とか「男としてどうなんだ」とか「ただじゃおかねえ」とか「好きにしたらいいさ」とか、人格を疑われたり、下手をすると社会人としての存在価値まで否定されることにもなりかねない、そういう仁義の世界なのですね。実に不思議ですけど。
 したがって誰も「やめよ〜よ」と言わないので、雪でゴルフ場がクローズにならない限りどんなに激しい雨が降ろうが、ものすごい霧で同伴者の顔すらよく見えない状況になろうが、ゴルフは行われます。
 え、そうじゃない人もいる?確かにそうかもしれませんが、少なくとも私の周りでは、すべてのゴルファーがゴルフを遊びというより「ゴルフ道」とでもいうべき修行の場と捉えている感じがしますよ、ほんとに。

 それならこの梅雨の季節のゴルフをどう乗り切るか?ただの遊びですから「乗り切る」なんて気張って言うほどのこともないのですが、やってる本人にはそれなりの悲壮感が漂っていますので、まあ大目に見てやってください。
 話を元に戻して、この梅雨の季節のゴルフをどう乗り切るか?その答えは簡単です。梅雨がないところにいってゴルフをすればいいのです。というわけで前置きが随分長くなりましたが、パンパカパ〜ン♪今年も行って参りました、おどろき北海道ゴルフの旅。
 このコーナーの2002年6月のページでかつて御紹介した、日通旅行様が企画する「おどろき北海道ゴルフ」。毎年ご報告しても能がないので黙っておりましたが、実はその後も毎年行っておりました。ということは、今年で何と6回目!?そんなに行ったかしら…。まー、しょーがないやね、だって新井さんと岩崎さんが「どーしても行こう」と言って聞かないんだもの。

 日程はかなりハードです。
 ゴルフをしない方のためにちょっと解説しますと、ゴルフ場というのはパー3、パー4、パー5という3種類の「ホール」が組み合わされて出来ています。すなわちパー3のホールは、遠くの方にある直径10.8pの穴(カップといいます)にボールを3回打って入れられれば「パー」ということになり、これが2回で入れば「バーディ」、4回だと「ボギー」と呼ぶのです。呼び方はどうでもいいのですが、自分が打った打数を全部足して、合計の打数が一番少ない人が勝ち、という極めて単純な遊びなのでございます。
 そのホールの数は、通常のコースですと「アウトコース」と「インコース」の二つに分かれていてそれぞれに9ホールずつ。各ホールは、原則としてパー3が2ホール、パー4が5ホール、パー5が2ホールで構成されていまして、(3×2)+(4×5)+(5×2)で合計するとパー36。すなわち予定通りに行けば、アウトコースで36打、インコースで36打の合計72打で帰ってくるわけで、これを称して「パープレイ」と呼びます。

 ところが予定は未定であって決定ではないため、パー3のところで6回打ってしまったり、パー5のところでは11回も打ってしまったりするわけですね(これすべて私自身が過去に記録した点数です)。もちろんたまには女神様が微笑んでいいスコアが出ることもあるのですが、だいたいが上手くいきません。そして全部の打数を足してみたら100を遙かに超えることになって、私が一緒にプレーして目の当たりにした最高記録は200を少し超えるくらいの、よくまあ数えたなぁというようなすごい数字になって、泣きながら帰ってくるわけです。すなわちゴルフというのは、自分が犯した過ちの数を勘定する、とても切ないゲームということもできるのです。
 「シングルプレーヤー」という言葉がありますが、これは予定の打数72よりも最大9点多い(一桁ですからすなわち「シングル」)程度の成績がコンスタントに出せる人、ということで、決して独身の人を指すわけではありません。そういう成績を出せるようになるにはゴルフに徹底的に打ち込み、仕事のことなんか放ったらかしにするくらいじゃないと実現できないようで、俗に「シングルプレーヤーには金貸すな」という言葉があるくらい、ゴルフというのは実に難しいスポーツなのです。
 
 熱くなってしまいました。話を「おどろき北海道ゴルフ」のスケジュールの件に戻しましょう。
 通常のゴルフですと、先ほどお話したアウトコースの9ホールとインコースの9ホールとの間に1時間程度の休憩があり、そこで昼食を取ることになります。ところが北海道でのゴルフには、基本的にこの昼休みというのがありません。

 早朝に羽田空港に集合します。朝の7時台です。その時間に空港に到着するためには、その3時間前くらいからモソモソと動き出さなければなりません。そして8時半くらいの飛行機で千歳空港に向かいます。安いパッケージ旅行ですから、ジャンボジェット機のずーーーーーーーーーーーーーーーーっと後ろのほうの座席です。野球場で言えば外野席みたいなところです。自分の席にたどり着くまでが大変です。メガホン持っている人はいませんけど。
 そして着陸したら、今度はずーーーーーーーーーーーーーーーーっと後ろのほうの座席からずーーーーーーーーーーーーーーーーっと前のほうの出口まで歩いてやっとの思いで飛行機を脱出し、トイレに行く時間ももどかしく、バスに乗り込みます。もちろんゴルフ場に拉致されるためです。そうやって急いで行っても、コースに着くのはお昼近くになります。朝から口に入れたものは、機内サービスのコーヒー1杯だけです。何も食べていません。空腹でフラフラです。
 そこでゴルフ場に着いたら、まず最初にご飯を食べるわけです。なんだか不思議です。飛行機に乗って遠くのレストランに行ったみたいです。せっかく来たから、とか言ってビールなんか飲んじゃいます。北海道だぜー!とか言って気が大きくなって、大ジョッキにフライドポテトなんかを注文しちゃったりするわけです。東京で食べるのと味は大して変わりませんが…。
 お酒をあまり飲まない岩崎さんは、既に海鮮ラーメンなどを注文しています。いい匂いがするので、そのスープを飲ませてもらおうと思ったら「絶対ダメ」と断られました。麺をくれといったわけじゃないのに。どうせスープは残るのに。人間の器の大きさがこういうところに表れます。


 美しいニドムクラシック     名物ホールのピリカコース5番ホール

 でもそんなことは意に介さず、あー気持ちいいねー、ワハハハなどと楽しい会話をしてふと時計を見ると、もうスタートの時間が近づいてくるわけです。そこで、急いで伝票にサインして、練習場に行って、酔いが回っていい気持ちになったところで適当にボールを打って、スタートホールに向かって、それから延々5時間くらい、ずーっと休みなく歩き続けてゴルフをするのです。終わるのは夕方6時くらいです。オプションで電動カートの設備はありますが、健康維持と経費節約のためにそんなものは使いません。総延長距離10qから15qくらいのコースをずーっとずーっと歩き続けます。
 ときには大きな松の木の下に行くこともあります。バンカーという意地の悪い砂場に入ることもあります。3人で行っているのに、みんな右や左に散って声も聞こえません。聞こえるのは自分の心臓の鼓動とハアハアという呼吸音と、ウグイスやセミの鳴き声くらいのもの。ときには人間の「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」という悲鳴のような声が聞こえることもあります。新井さんがミスショットしたときの声です。

 そして日も暮れかかった頃、ようやく18ホールの戦いが終わってお風呂に入って、今度はゴルフ場から宿泊予定のホテルまでバスに揺られて行くのです。ホテルに着くのは夜の8時近く。さすが北海道、昼間とはうって変わってひんやりとした爽やかな空気が漂います。
 宿泊は、苫小牧の一流ホテルです。入口に目つきの悪い、いかついおじさんが立っているので、関東からヤクザの新井さんが来たので地元の組衆が挨拶に来てるのかなぁと思ったら、そうではありません、本物のSPでした。というのも私たちが泊まったホテルに、その翌日に「全国植樹祭」にご臨席される天皇皇后両陛下がご宿泊になるとのことで、皇室からおどろきパック旅行の団体客まで幅広い客層を受け入れる、ホテルの器の大きさにミョーに感心したのでありました。


 快晴のゴルフ場           パーオンを狙う新井選手     

 さて仲の悪い3人は、それぞれ別々のシングルルームに荷物を放り込み、SPの視線を気にしつつもすぐに集合して夜の苫小牧に繰り出します。なぜって北海の珍味を味わうためです。苫小牧というのはホッキ貝の水揚げ高全国一だそうで、こいつをサカナに食事をしないわけにはいきません。「黒潮丸」という、いかにもおいしそうな名前のお店を事務局長の岩崎さんが予約しておいてくれました。さすがです。
 お昼にビールをたくさん飲んだから、さすがに夜は飲まないだろう、なんてことは全くありません。飽きもせず、また生ビールを注文してしまいます。お店の入口にガラスの水槽があり、そこにうまそうな毛ガニちゃんが恨めしそうな顔でこっちを見ていました。私は是非あれが食べたいと希望を申し述べたのですが、「北海道といえば焼きタラバだろう」という新井さんの非論理的で強権的な主張に却下され、毛ガニはタラバに化けてしまいました。絶対に毛ガニのほうがうまそうだったのに。くっそー、食い物の恨みは恐ろしいんだぞ、この怨念は明日のゴルフで返してやる!と密かに心に誓い、私は毛ガニの主張をシシャモに変更してその場を納めました。タラバもシシャモもうまかったですけど。

 そうこうするうちにあっという間に時は経ち、気がつけばもう11時近く。明日の朝は6時半から朝食バイキングで8時からゴルフです。強烈なスケジュールです。早く帰って寝なければなりません。急いでホテルに戻って、荷物を整理して、と思ったらタラバに睡眠薬でも混ざっていたのでしょうか、気がついたらもう朝になっていました。寝た気がしません。
 あわてて着替え朝食会場におりていったら、岩崎さんは既にクロワッサンをうまそうに頬張っています。早いです。新井さんも間もなく登場し、仲の悪い3人は口も聞かずに黙々と食事を済ませました。疲れていただけかもしれませんが。

 
 イーグルパットを決めた岩崎選手   チップインバーディの須田選手

 そしていよいよ二日目のゴルフがスタートします。昨日は「ニドムクラシック」という森林が美しいタフなコースでしたが、今日は樽前カントリークラブという、こちらもとても広々とした、美しいコースです。樽前カントリーでは、今年の9月に日本女子オープンが開催されるそうで、藍ちゃんやさくらちゃんもここでプレーするらしいです。だから何なんだ、と言われると返す言葉はありません。
 ゴルフは淡々と進みます。昨日一日歩いた疲れが体のあちこちに溜まっています。何となく寡黙になります。でも岩崎さんはビジネスマンですから、途中の林の中で、携帯電話で部下に指示を出しています。そういう私も、プレーの途中でメールをチェックしたりします。新井さんはゴルフが仕事なので、ゴルフに集中しています。
 そして次々にホールをこなし、ぶっ通しでプレーして、午後1時くらいには18ホールすべてを終えて、あっけなく2日間の仕事が完了してしまいました。やっている間はなかなか大変ですが、でも空気は爽やか、コースは全体的に広々としていて実に気持ちがいいです。美しい小川が流れ、太陽の光が燦々と降り注ぎ、涼やかな風がながれ、自然の大スペクタクルの中、鳥が鳴き、虫が鳴き、人が泣く。
 時計台を観光するわけでもなく、小樽運河で寿司を食べるわけでもなく、千歳空港とゴルフ場を往復するだけの二日間なのですが、やっぱりまた来たくなってしまいます。というわけで今月の一押しは、懲りもせず、「おどろき北海道ゴルフ(その2)」でした。

 
 コメントは全部ウソの嘘つき三人組

 2日目のゴルフが終わったあと、食事をして風呂に入って、千歳空港に着くのが夕方です。ここからが大変で、夜の飛行機までの数時間、なーーーんにもすることがありません。そこでまず最初に、三人一緒にソフトクリームを食べます。特製牧場ソフトです。これでやっと15分くらい潰れます。次に交代でおみやげを買いに行きます。一人1時間ずつで、荷物番は交代制です。とは言っても、空港の土産物店を端から端まで見ても、1時間潰すのは大変です。それぞれに秘密の買い物を済ませたあと、まだ時間があるので今度はレストランに入って食事をします。これでどうにか出発1時間前くらいになります。そして深夜に帰宅するのです。よくやるよねー。でもクタクタだけど、ほんとに楽しかった。だからみんな、誰かが死ぬまで毎年行こうねー。

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