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今回の一押しは「星占い」だあ!

2007年9月28日

 気がつけば、あのすさまじかった暑さはどこかに遠のき、いつの間にか秋がやってきました。夜になって布団に横たわり、庭の虫の音を聞いていると、生きててよかった〜、という気持ちになりますね。これで夕餉の食卓にマツタケの姿焼きなんかがゴロンとのっていて、えー、またマツタケー?昨日も食べたじゃん、これじゃキノコになっちゃうよー、あ、お酒は久保田の万寿ね、マツタケに日本酒は合うけど、たまには白ワインの辛口、モンラッシェでも試してみようかなー、なんてことになれば言うことはありませんけれども、世の中それほど上手くはいきません。
 私の友人の中には、私が毎晩ミディアム・レアのステーキをつつきながらシャトー・マルゴーのコルクをスポンスポン抜いているかのような嬉しい誤解をしてくださる方もいらっしゃるようで、時々「須田センセーって牛丼とか食べたことあるんですか〜?」なんて抱き締めてあげたくなるような質問をしてくれる人もいますが、今日のお昼は600円のタンメンでした。まあ、大したことはありません。うはは。

 それにしても季節は秋。今年は夏があまりに暑くて辛かっただけに、秋風の涼しさがひときわ爽やかで有り難く感じます。食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋ということで何をやるにも環境バツグン、この際、ドライブの秋、ギター購入の秋、有給休暇の秋、遅刻の秋、無断欠勤の秋、クレームの秋、と何にでも秋をつけたくなってしまいます。

 秋は景色も美しいですよね。暗くなった後、澄んだ夜空をふと見上げると、天空高く十五夜の月が冴え冴えと輝いていたりして、いつぞやご紹介した川瀬巴水の「馬込の月」の風景などを連想してしまいます。
 そういえば先日、ものすごく久し振りにプラネタリウムを見る機会に恵まれましたが、天体観測ってとても神秘的で素敵ですね。北極星は北斗七星の柄杓の一辺を五倍したあたりにある、なんていうお話は、昔、学校の理科の時間で習ったような曖昧な記憶がありますが、皆さんはいかがですか。
 私も純真な子供の頃には、親に天体望遠鏡などを買ってもらって一生懸命夜空を見上げたものですが、まさか大人になったら夜空を見上げる時刻にはだいたい居酒屋でどんちゃん騒ぎをしてるものだなんて、想像すらしませんでした。いやね大人って、ほんとに。

 天体で思い出しました。話は全くあらぬ方向に変わりますが、天体といえば、私、以前から星占いのことがずっと気にかかっていまして…。
 朝、出掛ける支度であたふたとしているときに、何となくつけているテレビから毎日のように「今日の運勢」とか「今日の星占い」といったようなアナウンスが流れてくるのを皆さんご存じですか?私も厳密に調べたわけではありませんが、さすがにNHKにはありませんけれども、民放の朝の番組ではどのチャンネルでも必ずと言っていいほどそういう類のコーナーが設けられているようですね。

 「いて座。今日は家族でじっくり話し合いましょう。サンドイッチが幸運の鍵を握っています」とか、「双子座。ラッキーカラーは黄色。予想外の出費に気をつけましょう」なーんていうヤツですけど、あれって一体どうなっているんですかね。
 私、別に星占いの業界にイチャモンをつけるつもりは全くありませんが、生来信心がありませんので、正直なところ「随分いい加減なもんだなー」という印象を持っていて、あまり真面目に見たことがありません。たまに見たら、「牡羊座(私の星座です)。今日は金銭運、恋愛運ともに最悪です」なんて言われたりして気分が悪いので、星占いのコーナーになるとすぐにチャンネルを変えてしまうのですが、ところが不思議なことに、他の局でもほとんど同じ時間帯で星占いをやっているんですね。
 公共の電波を使って、それだけ多くの番組で放映されているのですから、きっとそれなりの人気と需要があるのでしょうが、一体どんなもんなんでしょうか。「サンドイッチが幸運の鍵を握っている」というのは、どういうことなんでしょうか。どういう根拠に基づいてそういうことを言い切ってしまえるのでしょうか。
 
 それらご託宣は、恐らく何らかの法則に基づいて作成されているのでしょうけれど、もし、仮に、万が一、作者の思いつきやデタラメでやっているとしても、そんなデタラメを毎日毎日延々と作り続けるのは、それはそれでかなり大変な作業だろうと思います。私だったらきっと3日でネタが底をついて、ノイローゼになってしまうでしょうね。
 批判をするのは簡単です。確かに「ここで訂正がございます。先ほど、星占いのコーナーで天秤座のラッキーカラーを「赤」とお伝えしましたが、「白」の誤りでした。申し訳ありませんでした」なんていうコメントを聞いたことはありませんし、仮に白を赤と読み間違えたとしても「どうしてくれるんだ!」なんてクレームの電話をしてくる人はいないんじゃないかな。いや、最近は不思議な人が多いから、ゼロとは言い切れないか…。
 そういう点では、星占いというのは人畜無害と言えないこともありませんが、でもそれだけに、占いをなさる方々は結構大変なんだろうと思います。占いが占いとしての価値を高めるためには、やはりその的中率が命であるはず。A占い研究所の方がB占星術学会よりも的中率が高いということになれば、A研究所の人気はどんどん高まり、テレビや雑誌への出演依頼は増える一方。収入も増えて、いいことずくめのはずで、それだけに占い師の方はその精度のアップにしのぎを削っているのかもしれません。

 それほど関心がある話題ではないので深入りするつもりは全くなかったのですが、そんなことを考えているうちに一つ疑問が生じてしまいました。というのは、星占いって星の運行に基づいて結果が出るのだとしたら、占星術を研究している人のご託宣はいずれも似たような内容になるのではないか…、ということです。だって、たとえば土星と冥王星の位置から運勢が導かれるのだとしたら、誰が見たってその位置関係は同じですものね。

 こういうときにインターネットってほんとに便利です。だってマウスのクリック一つだけで、どこにも出掛けずにさまざまな星占いの内容を比較してみることが出来るんですから。そこで試しに、「今日の運勢」というキーワードで検索をかけてみることにしました。俺もヒマだよね。
 ところが、そこから驚くべき結果が…。その結果は次回に続く…。

 なーんて意地悪なことはしません。早速その結果をお目にかけますと、

<ある日の牡羊座の「今日の運勢」>
A占いでは……
 恋愛運→ 8 金銭運→10 仕事運→ 6 ラッキーカラー→白
B占いでは……
 恋愛運→ 8 金銭運→ 8  仕事運→ 8 ラッキーカラー→茶色
C占いでは……
 恋愛運→ 8 金銭運→ 8  仕事運→ 8 ラッキーカラー→サーモンピンク
D占いでは……
 恋愛運→ 8 金銭運→10 仕事運→10 ラッキーカラー→パープル
E占いでは……
 恋愛運→10 金銭運→10  仕事運→10 ラッキーカラー→クリームイエロー

 す、すごい。凄すぎる。だって、違ってますよ、全部(汗)。特にラッキーカラーは、関連性の痕跡すら見あたりません。これって一体……………。どういうことなんでしょうか……?
 こういう場合は、白いワイシャツに茶色のネクタイを締めて、サーモンピンクのスーツを羽織ってパープルのバッグを持ち、クリームイエローの靴を履いて出掛ければいいのでしょうか。これ以上深入りすると何だか面倒くさいことになりそうなので、この辺りでやめておきますが……。

 でもね。私ごとき素人がとやかく言えるほど占いの歴史は浅くありません。古代から、占いは政治の世界などでも重要な判断の指針とされ、時には人の生命を奪うほどの威力を誇っていたようです。安倍晴明で有名な「陰陽師」などは、平安時代には立派な官職、すなわち国家公務員だったんですからね。
 考えてみれば、世の中の出来事はそのくらい神秘的なことが多くて、だからこそ科学の発達していなかった昔には大まじめに占いで物事を決定していたのでしょうね。もっとも、科学が発達した現代になったって、日本中の役所で年金の猫ばばが横行しても全然バレずに済むシステムになっていたり、颯爽と登場したイケメンの総理大臣が突然病気で入院しちゃったり、よく分からないことが多いですから。
 それに比べれば、星占いでラッキーな情報を手に入れてウキウキすることが出来るなら、実に可愛いものです。そんなわけで今月の一押しは、やっぱり毎朝ちゃんとテレビをチェックして今日の幸せを確認したい「星占い」でした。

 それにしても「サンドイッチが幸運の鍵を握っている」というのがどーしても気になるんだよなぁ…。これって一体、どういう占いをするとそんな結果が出てくるんだろ。水晶玉の中にサンドイッチの画像でも浮かぶんだろうか。試しに食べてみたいけど、でもお昼サンドイッチだけじゃ物足りないしなぁ…。
 もう一つ別の占いを見てみたら、えーっ、ラッキーカラーは「レタスグリーン」で、ラッキーフードは「餃子」???よっしゃ、幸せを求めて今夜はビールに餃子定食だ… 

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