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今回の一押しは「五十公野公園」だあ!

2008年06月29日
 

 月日の経つのは早いもので、今年ももう半分終わっちゃいますね。皆さまもお忙しくお過ごしのことと思いますが、私はこの上半期、本当に仕事に追われて生きてきました。
 でもね。それがようやく一段落しそうなんです。会社の決算は一通り片付き、苦労して書いてきた本の原稿もいよいよ校正の段階まで順調に進み、お陰様で7月下旬には発売の予定です。このコーナーの読者の皆さまには一人最低10冊ずつのご購入をお願いしてありますので、きっと初版はあっという間に売り切れるでしょう。 
 え?聞いてない?ほんとに?おっかしいなあ…。出版社からお手紙いってませんか? いやー大変失礼しました、こちらの打ち合わせミスで…。ご購入意欲満々のあなた様には近日中にご案内を差し上げたいと存じますので、お願いだから受け取り拒否しないでね〜。

 というわけでようやく一息つけるところまでこぎ着けた私は、先月のiPodに続いてまたまた自分にプレゼントをあげてしまいました。しかも今回は「もの」ではなく「時間」です。じゃじゃーん、娘と二人で一泊二日の温泉旅行です。今の私にとっては、何も考えず、時間も気にせず、温泉にプカプカ浮かんじゃうなんて最高の贅沢、笑顔と思い出は「プライスレス」っていう感じなのです。
 娘は現在、群馬県で乳牛800頭を相手に奮闘しています。800頭もいるのですから、そりゃ〜毎日病気の治療と、種付けと、出産と、乳搾りで猛烈に忙しいんだそうです。父親も忙しいが娘も相当なものらしい。何せ生き物相手の商売ですから、就業規則とか労働基準法とか有給休暇とか、そんなこと言ってる場合じゃありません。「割増賃金?牛に聞いてくれ」ってな感じです。

 話は飛びますけど、彼女の仕事はとにかく牛さんがもーもー健康で、毎日牛乳をたくさん出してくれるようにすること。そのためにはお母さん牛が元気な子牛を次々に生んでくれなければなりません。つまり「種付け」というのは非常に崇高で重要なテーマなのです。
 しかし「種付け」を人間に置き換えると言うまでもなく「s○x」のことですから、すなわち娘は毎日まじめに「s○x」のことばかり考えて働いている、ということになります。したがってたまに会って話をすると、20代独身の女の子とは思えないような、父親としては腰を抜かしそうな話がぽんぽん飛び出してきます。「子宮」「精液」「妊娠」などというのは彼女にとっては日常会話で、私はその話のあまりの過激さと面白さに思わずメモを取りそうになってしまいました。検閲の関係で詳細をお教えすることはできませんが、最近のむすめ語録で面白かったのを一つだけご紹介しましょう。
 「お父さん、牛もばばあになるとあそこがガバガバになるんだよ」………

 さて、話題を元に戻しまして。忙しい父と忙しい娘がようやくスケジュールを調整して、温泉でのんびりしよう、という話がまとまりました。行くあては特にありませんが、どうせならうまい魚が食べたいということになり、それじゃ群馬から近い新潟にしよう!ということで計画はとんとん拍子に進みます。

 梅雨の合間のある週末、父は娘の家にそっと到着します。ちょっと怪しい感じです。そしてそれから1台の車に男女が乗り込み、一路新潟を目指します。援助交際かな?不倫かな?でも顔を見るとうり二つ。ありゃー、やっぱり血は争えません。
 関越自動車道を北上すると「関越トンネル」というすごいトンネルに着きました。何がすごいって全長が11qもあります。非常時に備えて、入口に信号機まで備え付けられています。走っても走っても出口は見えません。そんなことはありません。少し走ったら出口の光が見えてきました。そしてあっという間に小千谷に到着します。


 信号機つきのトンネル入口     長ーいトンネル

 小千谷といえば「へぎそば」だなあ、というわけで、無計画な二人はお昼の時間でもないのにそば屋を探して小千谷インターをおりてしまいます。そして「角屋」という老舗のおそば屋さんに到着しました。
 へぎそばって知ってますか?「へぎ」という四角い器に盛りつけられた、コシのあるおいしいそばです。以前、吉祥寺に「匠」という名店があったのですが、残念ながら店を閉じてしまい、しばらくありついていません。そば好きの二人は迷わずへぎそばを二人前、それに野菜天ぷらなどを注文してしまいます。
 待つこと10分、出てきました出てきました、久し振りのへぎそばが。ずるずるー、ずるずるー。やばい、激うま。あれ?これは何だ?テーブルの端っこにニンニクみたいな球根状のものが器に入っています。聞くとアサツキの根らしい。その皮をむいて囓りながらそばを食べると、ずるずるー、ずるずるー。きゃー、激カラだけどちょーうまい。
 天ぷらもサクサクです。ずるずるー、ずるずるー。これ読んでたらそばが食べたくなったでしょ、けけけ。いやーほんとに激うまなおそばでした。

 あっという間に二人前を平らげた二人は、そういえば小千谷というのは恋の街だ、じゃなくて、鯉の町だ、ということを思い出します。錦鯉の養殖では全国的に有名な小千谷市、それじゃ鯉の池でも探してみるか〜ということになり、「錦鯉の里」というところに行ってみました。
 正確に言うと、父親が「錦鯉見に行こうよ〜」というのに対して、娘は「えー。錦鯉なんて面白くないじゃん」と一触即発の険悪な空気になりかかったのですが、行ってビックリ見てびっくり。錦鯉たちのあまりの美しさと大きさに、思わず夢中になってしまったのでした。解説によれば、錦鯉は利口な魚で手なづけると名前を呼ばれた鯉だけがこちらに来たり、中には水から外に出て手の上でえさを食べる鯉もいるんだそうです。ほんとですから。そう書いてあったんですから。まるで手乗り文鳥みたい。可愛いわけですね。
 私たちも100円でえさを購入し、大きな水槽に近づいてみました。そうしたら…いやー、すごい、まるでえさやりショーのような状況になってしまいます。娘の手に群がる鯉たち。大きな口を開けて、チュポチュポ音を立てながら赤や金色の巨大な鯉たちが次々に近づいてきます。他のお客さんも見とれていました。娘はかなり本気になっています。私もやってみましたが、何とも言えない不思議な感覚で、実に面白い。


 美しい錦鯉の群れ         すごく大きいです


 どんどん食いついてきて      だんだん恐くなります        

 あー、面白かった。というわけで30分ほど遊んだ後、小千谷を後にした二人は一路月岡を目指します。今夜のお宿は、新潟県の東部に位置する月岡温泉というところなのです。
 しかし新潟県は本当にお米の産地です。走っても走っても、田んぼしか見えません。幸運なことに当日は梅雨の合間の晴天で、見渡す限りコシヒカリの苗が緑色に輝いています。懐かしく香ばしい田園の香り。本当に清々しいです。


 見渡す限りの田園風景      高速道路も貸し切り状態

 しばらく走ったら踏切がありました。田んぼの中を走っている鉄道の単線の線路が郷愁を誘います。子供時代にはこんなところでよく遊んだよな。カエルを捕ったり、バッタを追いかけたり。何だか昨日のことのように思い出して、ボーッとしてしまいます。
 ふと我に返ると、そよぐ風に田んぼの苗がそよそよと動いています。目に見えないはずの風の姿が、稲の動きで確認できるようです。その光景を見て、ザワワ、ザワワ、ザワワ〜と有名なフレーズを口ずさんでしまいました。その瞬間、「お父さん、それはサトウキビ畑のうたでしょ」と娘の指摘。よく考えたら、確かにサトウキビ畑の歌でした。私は完全にコシヒカリの歌だと思い込んでいい気分になっていました。勘違いって恐いですね〜。


 牧歌的な線路の景色      猫もヒマそう
 
 相変わらず無計画な二人は、とりあえず行ってみよー、ということで午後2時くらいに旅館に到着してしまいます。ものすごく中途半端な時間です。そこでフロントのお兄さんに、近くでどこか見るところありませんか?と伺ったところ、「それでしたらイジミノ公園がよろしいですよ」と教えてくれました。
 イジミノ?聞いたことないな〜、どういう字書くの?と思っていたら、お兄さんがパンフレットをくれます。そこには「五十公野公園あやめ園へようこそおいでくださいました!」と書かれています。なになに、五十公野公園のあやめ園は日本四大あやめ園の一つ?ほー。しかも見頃は六月下旬?ピッタシじゃん…。というわけでそれからの二人は、まるでそれが目当てで来たかのような顔をして、生まれて初めて聞いた「イジミノ」という不思議な響きのする公園を目指しました。

 「いずれがアヤメ、かきつばた」という言葉がありますが、アヤメとショウブとカキツバタって皆さん区別つきます?私には全く分かりませんでしたが、アヤメもショウブも漢字で書くと共に「菖蒲」なんですね。辞書でアヤメを引くと、「ショウブの古称」と書いてあります。ますます混乱します。そこでネットで検索してみたら、アヤメは乾いたところ、カキツバタとショウブは湿ったところで育つ、と書いてあります。その他にも大きさが違うという特徴もあるようです。尾形光琳の「かきつばた図屏風」という国宝がありますが、私はかきつばたの本物を見たことがあるのかどうか、とても曖昧です。
 というわけで難しい話を深追いするのはやめにして、五十公野公園の美しいアヤメの姿をご覧下さい。300品種、60万本の花が咲き乱れる姿は、それはそれは見事なものでございました。


 五十公野公園入口       美しいあやめ園



 さてここで問題です。ウォーリーを探せ!あやめ園の中に怪しいおじさんが紛れ込んでいるのですが、どこだか分かりますか?


 ウォーリーを探せ!
 
 どうです?ほんとにきれいでしょ?私は人混みが嫌いなので、花見にしてもお祭りにしても美術館にしても、「見るべきピーク」の時期に目的地を訪れる経験があまりありません。ところが今回は、本当に期せずして、素晴らしい満開のあやめ園を見学することができました。可愛いむすめと二人で幸せな二日間を過ごすことができ、忘れられない思い出もできました。というわけで今月の一押しは、新潟県新発田市の「五十公野公園」のあやめ園でした。

 温泉をたっぷり楽しんで夕食を済ませた後、フロントに行ったら「ホタル見学」という看板が出ています。おぉー、懐かしい〜、ホタルなんてもう何十年も見てないな〜、と喜び勇んで旅館の裏にある田んぼの中の用水路に出掛けていきました。
 ところがフロントのお兄さんの笑顔が今ひとつ冴えないな、と思っていたら、ホタルには少し時期が早かったようで、残念ながらほとんどその姿は見えません。ようやく2匹だけ見つけたのですが、そのうちの1匹は家族連れの兄弟げんかの奪い合いの餌食になり、息絶え絶えの状況です。仕方がないので、借りた懐中電灯でお化けごっこをやって帰ってきました。あー、面白かった。忘れられない夏の思い出ができたよ。それじゃ今度はセブンイレブンでゲットしたひとだまのおもちゃを燃やして遊んでやるぜぃ…


 で、出たー!!

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