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今回の一押しは「名刺リーダー」だあ!

2008年07月29日
 

 暑い日が続きますね。つい先日梅雨が明けたばかりなのに、何だかもうずーっとアフリカのジャングルで生活しているような疲労感を感じます。最近、何人かの方と「俺たちが子供の頃はさぁ、暑いといってもせいぜい31,2度が上限だったよね」というような会話を繰り返していますが、暑さのせいかその相手が誰だったのか、本当に何回も繰り返して話していたのか、頭がボーッとしてはっきりしません。相当やられちゃってますね。

 そんなわけで、相変わらず夢か現か分からないような毎日を過ごしておりますが、そのせいか私、この度日本初のひとだまの撮影に成功してしまいました。いやー、すごかったです、偶然デジカメを持っていたとはいえ、千載一遇のチャンスを捉えバッチリ写ってます。場所は我が家の玄関先、夏の夜にピッタリの映像をまずはご覧下さい。



 いかがでした? え? そんなはずがない? インチキだろう? 失礼ですね…。そんなに疑うなら、このコーナーの先月号の一番最後を見てみなさい!
 あ、ばれちゃいましたか。それなら白状するか。そうです、この映像は先月新潟のセブンイレブンで購入した「目玉おやじ・妖怪ひとだま」の燃焼風景なのです。それにしても最近のおもちゃは大変よくできていまして、ちょっと遠くから見たら本物のひとだまみたいです。といっても、私、本当のひとだまを見たことはありませんけど。

 さて前置きはこのくらいにして、今回はこの「夢か現か分からない」という、少し難しい言葉を使うと「観念と現実の認識」について考えてみたいと思います。

 私、先日久し振りに携帯電話の機種変更をしてきました。それまで使っていた端末にそれほど不満があったわけではないのですが、一言で言えば飽きてしまいまして、さらに道で落として外装を傷だらけにしてしまったことが追い打ちとなり、決心したのでした。
 とはいうものの、かつてのゼロ円ただ配りの時代は終わり、ご存じのとおり今や携帯電話も高額な家電製品となりつつあります。私は携帯電話を販売する会社にちょっと関係があるのですが、だからといって権力を濫用するわけにもいきませんし、したがって襟を正してそれなりの料金を支払って購入することになります。しかも最近では、一度購入した端末機器は2年以上使用しないとペナルティ料金がかかるようになってしまったため、その選択は慎重にならざるを得ません。

 そんな状況の中、店頭に行ってあれにしようかな〜、これにしようかな〜と迷っていたら、シャープ製の電話機に「名刺リーダー」という機能がついているのを紹介してもらいました。
 これは携帯のカメラで名刺を撮影すると、たちどころに氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどがデータとして認識され、いちいち入力しなくてもあっという間に電話帳に登録できるという素晴らしい機能です。名刺にもいろいろなデザインがありまして、会社名、氏名、住所というようにオーソドックスな配列になっているものの他にも、人と変わったことをしたいという目立ちたがりの人ほど風変わりなことを考えます。名前を極端に大きくしたり、逆に小さくしたり、メールアドレスを一番先に持ってきたり、電話番号だけ太字にしたりと、工夫はさまざまですが、今まで実験したところによりますと、どんな奇抜なデザインでもかなりの確率で氏名は氏名、住所は住所としてバッチリ認識してくれるんです。これってすごいことですよね。
 振り返ってみれば、名刺を読み込んで住所録を作成する機械というのは結構古くからありました。確か最初は、パソコンにイメージスキャナーを外部接続して専用ソフトで読み取る製品で、その認識ヒット率もそれほど高くなかったのではないかと思いますが、それが今ではこんなに小さな携帯電話の中に完璧に組み込まれているところが素晴らしい。しかもその認識率の高さには本当に驚いてしまいます。

 考えてみると、私たちは名刺を見た瞬間に「これは人の名前」「これはメールアドレス」と無意識のうちにデータのジャンルを区別していますが、これって相当高度な機能ですよね。武蔵野市中町1-16-10という文字の羅列を見たときに、武蔵野市を人の苗字と勘違いする人は恐らく一人もいないでしょうし、1-16-10を電話番号と思う人もいないでしょう。
 しかし論理の積み重ねのみで作動するコンピュータに、ランダムに配置された文字と数字の行列を住所、氏名、電話番号の区分ごとに分類してもらうためには、きっとさまざまな法則をプログラミングして組み込む必要があるはずです。その技術の素晴らしさに感心すると共に、人間の知能って本当にすごいものだなあと改めて思ってしまいます。

 最近のデジカメも相当優秀で、画面に映る人の顔を瞬時に認識し、笑顔になった瞬間にシャッターが落ちる機能などがテレビCMで紹介されていますが、私などはこういう機能に感心するたびにやっぱり人間の認識力のすごさに驚いてしまいます。
 たとえば新宿駅の改札口で人と待ち合わせをしているとします。その雑踏は一日中途切れることがありませんから、朝から晩までものすごい数の人が行き来しているわけです。改札口に向けて新型のデジカメを構えたら、画面中に人の顔を認識したマークが次から次へと現れるでしょう。しかし私たちは、目的の人が登場するとその人を瞬時に識別できる。まるでその他の人はグレーの背景で、その相手のみが映画の主人公のように光って見えるわけです。これってどういう仕組みなんでしょうかね。口ではうまく説明できませんが、恐らく顔だけでなく身長や肉付き、ヘアスタイル、着ている服の傾向、歩き方や仕草の特徴などをトータルで覚えていて、一瞬で「あ、来た!」と思うのでしょうね。

 その証拠に、先日道を歩いていたら、向こうからやってくる中年の女性に深々と頭を下げられてしまいまして、私もよく知っている顔なので「あ〜どうも、こんにちわ〜」なんて精一杯の笑顔で挨拶したのですが、さてその人が誰だか分からず、それから30分くらい悩みに悩んで悶絶死しそうになってしまいました。落ち着いて考えたら近所のラーメン屋のおばちゃんだったのですが、いつものエプロン姿じゃなくておめかしした外出着なんか着ていられると、途端に誰だか分からなくなってしまうのです。
 すなわち人を個別に認識する情報は、顔の造作だけでなく、その人の全体的な印象で構成されているので、どれか一つが狂っただけでも分からなくなってしまうのですね。ところが私は休日にサングラスをかけて「変装」して出掛けるのですが、本人はそのつもりでも周りの人からは全く普通に「須田さん、こんちわ」と声を掛けられます。変装の効果などまったくありません。この辺りが実に不思議で、人間って本当にすごいよな〜。

 相手を識別するこういう能力は、きっと人間より動物の方が優れているのではないかと思うのですが、先日我が家の愛犬はるちゃんと散歩していたら、我が息子とよく似た青年が通りかかりまして、私は「あれ?何でお前がこんなところを歩いてい…」と思ったその瞬間に他人の空似だと気がつきました。しかしはるちゃんは、しっぽをちぎれそうに振りながらその青年と併走しています。なんだ、お前も勘違いしたのか〜と微笑ましく思いましたが、犬って意外にだめなのかもね。

 こんなに優秀な人間の認識力ですが、気が動転したときそのパワーは一気に落ちるようです。新聞報道などによりますと、「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」は相変わらず後を絶たないようで、今や億単位のお金が被害に遭っているようですね。
 幸いにして私の周りに被害者はいらっしゃらないのでインタビューしたことはありませんけれども、被害にあった方は金銭的なショック以上に精神的なダメージを強く受けておられるのではないでしょうか。きっと周囲からは「ばっかだなぁ、何で俺と他人の区別がつかないんだよ!」とか「あ〜あ、年取っちゃって。だからうっかりお金なんか預けておけないんだから」などと罵倒されているに違いありません。それより何より、いい年をした大人が簡単に騙されて、自分の手で見ず知らずの他人にお金を振り込んでしまうなんて、後から考えたら悔しくて悔しくて、きっと夜も眠れない日々が続いているはずです。
 こういう私だって、ある日電話帳広告の請求書が届いたので早速振り込もうと思いましたが、よ〜く見たら私の事務所の電話帳広告を切り抜いて貼り付けた紙の横に「あなたはNTTの電話帳にこういう広告を出していますが、お金を振り込んでくれれば当社独自の広告にも掲載します。なお当社はNTTとは関係ありません」なんていう文章が小さい字で書いてあるじゃありませんか。危ね〜(汗)、あと少しで振り込んでしまうところでした。
 
 しかしそれにしても一部の悪い人のせいで、世の中がどんどん不便になっていきますね。いつだったか仕事上の取引先にお金を振り込もうと思って銀行のCD機のコーナーに行ったら、振り込みをするのにもお金を引き出すのにもすべて金額に制限がかけられていて、どうにもなりません。結局無駄足になってしまい、戻ってきてからインターネットバンキングで処理しましたが、以前はこんなことはありませんでした。
 オレオレ詐欺が横行する→お年寄りが多額の被害に遭うのを防ぎたい→銀行の振り込み金額に上限を設ける、という論理はもっともなことで、これにイチャモンをつける気はありませんが、しかし振り込み金額を制限したり、たばこの自動販売機に年齢認証機能をつけたりするのは、世の中が幼児化していることの現れではないでしょうか。きっと長い時間がかかるとは思いますが、青少年の教育をもっとしっかりして、社会のモラルを建て直して、そんな幼稚な制約を設けなくてもみんなが自らを律して普通に暮らせる国にしたいものです。
 つい最近、電車の優先席を一人で占領して寝そべって、携帯電話をいじっているアホなヤツがいたのでどんなおっさんかと思ったら、なんと高校の制服を着ていました。世も末だなと衝撃を受けましたが、中学生がバスジャックする時代ですから、これは相当手強いです。みんな、せめて自分の子供くらいしっかりと教育しようね。というわけで今月の一押しは、ミョーに真面目な雰囲気になってしまいましたが、私に認識の不確かさを考えさせてくれた「名刺リーダー」でした。

 名刺リーダーに感動した私は、結局シャープの機械に機種変更しました。これがなかなかの優れもので、カメラはもちろんのこと、おサイフケータイ、FMラジオ、ワンセグテレビと何でも付いています。おまけにBluetooth対応なので、ワイヤレスマイクを使って通話まで出来ちゃうの。何だか携帯の携帯って感じ。すごいでしょ?みんな、今度会ったときはいろいろ自慢しちゃうからねー。覚悟して待っててちょ…

 

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