<第百四回:問題と解答>
[出題日:2003.6.09(火)  解答発表日:2003.6.13(金)]

[問題]
 長井さん一家では、今年の一月に父親が亡くなり、母親と長男、長女で遺産分けをして相続税の申告も済ませました。
 ところがその後、長男が「自分のもらった遺産はどう考えても少なすぎる」と執拗に主張したため、母親と長女は渋々ながらも遺産分割のやり直しに応じることになりました。この場合、税務上の取り扱いはどうなるでしょうか。
@やり直しにより長男が取得した財産は、贈与を受けたものとして贈与税の対象となる
A相続税の申告は既に終わって納税も済んでいるので、特に修正する必要はない
Bやり直した分割内容に基づき、相続税の申告書を提出し直す
             <出題者:ナショナルキッド>

[正解]@
 遺産の分割協議は、相続人が一定の時間をかけて慎重に行うものです。そして最終的に合意に達したら、分割協議書を作成してこれに全員が実印を押印します。このように、分割協議は確定的に一回限り行われるものであり、相続人の誰かを抜きにして行われたなどの非合法なものでない限り、やり直しということはあり得ません。したがって現実にやり直しが行われたとすれば、それは分割協議が一旦成立し、改めて相続人間で財産のやりとりが行われたものとみなされます。本問の場合には、やり直しにより新たに財産を取得した長男は、他の相続人から贈与を受けたものとして贈与税が課税されることになります。