<第百七十九回:問題と解答>
[出題日:2004.11.29(月)  解答発表日:2004.12.03(金)]

[問題]
 
私は自動車部品の製造を営む会社を経営しています。この度中国の会社と取引をすることとなり、初めて中国へ出張いたします。現地の担当者は日本語が話せるから大丈夫だと言われていますが、なにぶん初めての取引で相手が信用できるのか不安なので、中国留学から帰ったばかりの学生の娘を通訳に同行させようと思っています。もちろん娘の渡航費用は会社から出します。何か税務上問題があるでしょうか?なお、当社には英語に堪能な社員はおりますが、中国語を話せる社員はおりません。
@親族を海外出張に同行させれば、その費用は役員賞与となる
A今回の場合は娘の旅費を経費として問題ない

                            <出題者:ベル>

[正解]A
 海外渡航に際して親族を同伴した場合には、たとえ法人の業務の遂行上必要であると認められるものであっても、法人が負担したその同伴者の旅費は原則としてその役員の賞与と取り扱われます。ただし、次の場合に限っては損金として認められます。(法基通9-7-8)
A.その役員が身体障害者で補佐人が必要な場合。
B.国際会議へ出席等のため配偶者を同伴する必要がある場合。
C.その旅行の目的を遂行するため外国語に堪能な者又は高度の専門知識を有するものを必要とする場合に、適任者が法人の使用者のうちにいないため、同伴するとき。
 今回のケースでは、Cの場合に該当しますので、娘の旅費も経費と認められるわけです。ただし、ご家族と行ったからといって観光旅行をしてこないで下さいね。観光を併せて行った場合には渡航費用の一部は役員賞与とみなされてしまいます。