<第十九回:問題と解答>
[出題日:2001.10.08(月)  解答発表日:2001.10.12(金)]

[問題]
 O社は社長の岡本氏一族で経営している、いわゆる同族会社です。O社は社員に対して下記の年末賞与を支給することを計画していますが、その税務上の取り扱いについて説明しなさい。
@ 社長のO氏に対して100万円
A 取締役営業部長のP氏に対して80万円
B 実質は平社員だが、登記の都合上、名前だけ監査役になっている経理部のQ氏に対して60万円
C 社長の妻のR氏(R氏自身はO社の株式は所有していません)に対して50万円

                <出題者:ナショナルキッド>

[正解]
@ 損金不算入
 役員に対する賞与は、原則として損金に算入できません。これは、会社と役員との契約は雇用契約ではなく委任契約であり、契約年俸を上回る金額は一種の利益処分であるという考え方に基づくものです。したがって社長に対する賞与は、損金に算入できません。
 なお損金不算入とは、法人税の計算上、経費として認められないというだけのことであり、賞与を支払ってはいけないということではありません。支払法人において損金に算入されず、しかも受け取った個人には所得税が課税されることを覚悟するなら、社長に対して賞与を支払うことは一向に差し支えありません。 
A 従業員としての賞与のみ損金算入
 取締役などの役員としての肩書きを持ち、同時に営業部長などの従業員としての地位を有する人を「使用人兼務役員」と呼びます。使用人兼務役員に対する賞与は、その実態に応じて、使用人部分として支払われる金額に限り、損金に算入できます。
B 損金不算入
 同族会社では「名前だけの」役員になっている人が散見されます。このような場合、使用人兼務役員であれば、上記Aのように賞与を損金に算入できる可能性がありますが、監査役は使用人兼務役員の取り扱いを一切受けられません。この取り扱いは、専務取締役、常務取締役などについても同様です。いわゆる平取締役であれば、その実質に応じて使用人部分の賞与は損金に算入できます。
C 損金不算入
 登記上の役員でなくても、実質的に会社の経営に従事していると認められる人は、税法上役員とみなすことになっています(これをみなし役員といいます)。通常、代表取締役の妻は経営に従事していると認められ、また本人自身に持ち株がなくても、配偶者が同族株主として一定比率以上の持ち株を有する場合には、その妻も同族グループの一員としてみなし役員とされます。したがって役員賞与の取り扱いとなり、損金に算入できません。