<第六十四回:問題と解答>
[出題日:2002.08.26(月)  解答発表日:2002.08.30(金)]

[問題]
 且R本販売(以下A社)と去R本製造(以下B社)は、どちらも山本さんが全額出資して経営している同族会社です。長引く不況のためA社は経営状態が悪化し、事業を継続することが困難となりました。そこで山本さんは、A社が銀行借入をした際にB社がその連帯保証人となっていたため、B社の所有する土地を売却して資金を捻出し、A社の借入金を返済しようと考えています。このような場合、B社がA社に渡す返済資金は税務上どのように取り扱われるでしょうか。
@ A社への貸付金であり、A社が倒産すればB社は貸倒損失として処理できる
A A社への貸付金であるが、両社は事実上一つの会社だからA社が倒産してもB社において損失処理することは認められない
B B社は回収見込みのない資金を渡したのだから、A社への寄付金として取り扱われる
        

        <出題者:ナショナルキッド>


[正解]@
 いわゆる兄弟会社は、第三者同士ではないため、その間においては税務上問題とされるような取引が発生する危険性が少なくありません。このため税務署も、兄弟会社間取引に対しては特に注意の目を光らせています。本問のようなケースでも、その取引に経済的合理性があるかどうかということが最大のポイントとなります。
 したがって連帯保証をしたことに経済的必然性があり、また結果として債権放棄をすることに相当の理由があるならば、その損失は貸倒処理することが認められるでしょう。