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海外旅行費用について

当社では、会社創立10周年の記念行事として、海外慰安旅行を計画中です。その費用を会社が負担した場合、税務上何か問題が生じるでしょうか。

慰安旅行の負担金が福利厚生費として認められるには、一定の条件があります。
業務上の海外出張旅費は、旅費交通費として損金に算入できます。

解説

1.海外慰安旅行の取り扱い
従業員や役員のために慰安旅行を行った場合に、会社がその費用を負担したときは、その取り扱いは次のとおりとなります。
(1)下記の要件をすべて満たす場合には、原則として福利厚生費としての処理が認められます。
①その旅行に要する期間が4泊5日(目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数によりカウントする)以内のものであること
②その旅行に参加する従業員等の数が全従業員等の50%以上であること(支店単位等で行う場合には、その開催単位で判定する)
なお福利厚生費としての処理が認められるということは、会社側は単純に経費として処理ができ、かつ、その利益を受けた従業員側にも課税問題が生じないということを意味します。
(2)上記(1)の場合以外は、給与課税の問題が生じます。
上記の条件を満たさない場合、たとえば現地泊数が5泊以上であったり、また参加者が50%を下回るようなケースでは、その旅行に参加した人に、その利益相当額の給与の支払いがあったものとみなして、源泉徴収の問題が生じることになります。つまり会社側の処理としては、「福利厚生費」であっても「給与」であっても損金に算入できることに変わりはないのですが、旅行参加者には旅費相当額のボーナスの支給があったものとして源泉税の追徴課税が生じる危険性があるということです。
また会社側にも、給与課税が後日発生した場合には、源泉税の不納付加算税という罰金がかかることがありますし、参加者の中に役員がいる場合には、役員賞与として経費処理が認められないケースも生じますので注意が必要です。
なお上記(1)の基準は、あくまで形式基準にすぎませんので、たとえこれをクリアする場合であっても、旅行の中身が慰安旅行としては不相当に豪華なものであるようなケースでは、やはり給与としての認定課税が生じることがあります。
そこで、この「豪華」の判定の際によく使われるものとして10万円基準というものがあります。これは先程述べた会社の負担が「おおむね10万円以内」であれば、給与としての認定課税が生じないとされる基準です。この基準は実務上ではよく目安とされるものの、その根拠は一般に税務署内の内部判断基準によるものとされ、特に明文化されているものでもないので、あくまでも参考程度に用いることになります。

2.海外渡航費の取り扱い
役員や従業員が海外渡航をする場合に、その旅費を会社が負担したときはその費用は次のように取り扱われます。
(1)業務上必要な旅行である場合
その海外渡航が業務上必要なものと認められる場合には、その費用のうち通常必要と認められる部分の金額は旅費として損金に算入されます。なお、業務上必要な旅行であるかどうかの判定は、その実質に即して判定するわけですが、次のような旅行は原則として業務上必要な旅行とはみなされないことになっています。
①観光渡航の許可を得て行う旅行
②旅行会社が主催する団体旅行に応募してする旅行
③同業者団体等が主催して行う旅行で主として観光を目的とするもの
したがって、いわゆるパッケージ旅行、ツアー旅行などはそのほとんどが業務上必要なものとは認められないことになります。なおその場合には、会社が負担した旅費相当額は旅行をした者への賞与と認定されますので、ご注意下さい。
(2)業務と観光を併せて行う旅行の場合
業務上必要な旅行と観光とを併せて行う旅行の場合には、その費用を何らかの合理的な基準(たとえば日数按分など)で区分し、業務に必要と認められない部分の金額は、本人から徴収するか、さもなければ賞与の支給があったものとして源泉徴収しなければなりません。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による

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