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決算期の変更について

当社は創業以来、1月1日から12月31日までの年1回決算を続けて参りましたが、諸般の事情により決算期を8月に変更したいと考えています。具体的な手続の方法について教えてください 。

株主総会を開催して定款を変更すれば、決算期は簡単に変更できます。
登記の必要はありませんが、税務署等には届出が必要です。

解説

1.まずは株主総会の決議
親会社が決算期を変更した、業務の繁忙期が変化したなどの理由により、会社は従来の決算期では不都合となるケースがあります。このような場合、会社はその決算期を自由に変更することができます。具体的には次の手順によります。
(1)総会の決議後、議事録を作成
現在では、定款においてその営業年度を定めるケースが一般的ですが、定款を変更するには株主総会の特別決議が必要です(会社法466条、309条2項11号)。すなわち発行済株式総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席して臨時株主総会を開催し、その議決権の3分の2以上の賛成により成立するわけです。なお、有限会社の場合には、議決権の4分の3以上の賛成が必要です(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律14条)。総会の決議により、営業年度変更の手続は完了します。ただし定款の変更決議により、定款そのものを書き換えることはしませんのでご注意下さい。また、営業年度は登記事項ではありませんので、法務局への届出等の手続も必要ありません。
(2)税務署等への届出
総会の決議後、その内容を記載した株主総会の議事録を作成します。そしてそのコピーを添付して、所轄税務署、都県税事務所、市役所などにその旨の届出をします。公的な手続はこれで完了ですが、主要な取引先や銀行などにも、その旨の連絡をしておきましょう。
(3)届出の効力発生
営業年度変更の効力は、過去に遡ることはなく、決議がされた時点から未来に向かってのみ有効です。質問のようなケースではその効力は次のようになります。
① x.1.1~x.12.31……従来通り1年決算
② x年10月に変更決議、届出
③(x+1).1.1~(x+1).08.31……決議の効力が生じ、8ヶ月で決算
④(x+1).9.1~(x+2).08.31……決議の効力が生じ、新事業年度での1年決算

2.1年未満の営業年度の留意点
決算期を変更すると、12ヶ月未満の期間で決算を迎える営業年度が必ず1回生じます。上記の例でも、(x+1)年1月1日から同年8月31日までの8ヶ月を1営業年度として決算申告をすることになります。このような営業年度においては、税務申告上次のような留意点が生じますのでご注意下さい。
(1)交際費…交際費は原則として損金不算入ですが、資本金1億円以下の法人には600万円の控除枠が認められています。この金額は1年当たりの限度額ですので、1年未満の決算の場合には月数按分をすることが必要です。
(2)減価償却…減価償却費は、取得価額に1年当たりで計算された償却率を月数按分したもの(改定償却率という)を乗じた金額を償却限度額としなければなりません。また3年で均等償却する一括償却資産の損金算入額も、当期の月数が12ヶ月に満たないときはその月数に応じた金額が損金に算入されます。
(3)消費税の各種判定…消費税の計算においては、基準期間における課税売上高が、簡易課税の選択や免税事業者の判定に影響を及ぼします。この場合、課税売上高が5千万円以下であるか(簡易課税の適用可否)1千万円以下であるか(免税事業者の判定)はいずれも1年当たりの金額として見ることになっていますので、たとえば8ヶ月で決算を行った年度においては、その年度の課税売上高を8分の12にした金額で判定をしなければなりません。
(4)地方税関係…地方税の均等割りは、通常の税額に当期の月数を乗じこれを12で除した金額(百円未満切捨)が納税額となります。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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