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交際費の取り扱いについて

交際費は、税金の計算上、経費として認められないという話を聞きましたが本当ですか。

法人税では、交際費の経費算入に一定の制限を設けています。

解説

交際費とは、一般に、取引先などを接待するための飲食代や贈答費などを指します。事業活動には欠くことのできない支出ですが、税金を課税する立場から見ると、「飲み食いの支出を経費に計上して納税額が減るのはけしからん」という考え方もあるようです。そこで交際費には経費算入に一定の制限が設けられています。

1.会社と個人の考え方の違い
個人事業者が交際費を支出した場合、その経費算入額に具体的な限度額は設けられていません。したがってその支出が本当に必要なものであれば、金額に制限なく費用に算入することができるのですが、「家計費」との区別が問われるので注意が必要です。たとえば中元や歳暮の贈答費の中に、事業と関係のない人への贈答品代などが含まれていないかどうかが贈答先名簿などからチェックされます。
これに対して法人の場合には、その会社の資本金の大きさによって経費に算入できる金額があらかじめ決められています。その限度額は下記のとおりで、たとえば資本金500万円の有限会社の場合には、年間600万円を超える部分の交際費は、その全額を利益に加算して税務申告をしなければなりません。
資本金が1億円以下の場合 …年間600万円
資本金が1億円を超える場合 … 0
なお、グループ法人税制の導入に伴い、平成22年4月1日以後に開始する年度からは、資本金5億円以上の法人による100%子会社等は、年間600万円の限度額が使えなくなりました。

2.税法上の交際費とは
交際費の経費計上に制約があるのであれば、交際費以外の勘定科目を使って経理したくなるのが人情です。そこで税法は、交際費を下記のように定義し、隣接経費との区分を明確にしています。
「交際費とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」

3.交際費と隣接経費の区分
交際費に該当するか否かは、税金の計算にダイレクトに反映します。下記の隣接経費との区分をよく理解し、交際費に該当するものは交際費に、交際費に該当しないものは交際費以外の経費に経理することが大切です。
(1)売上割り戻し等…売上高や売掛金の回収高に比例するなど、一定の基準で得意先に交付する金銭等は交際費ではありません。これに対し「たくさん買ってくれたから」などの理由でお礼のお金を支出すれば、これは交際費になります。したがって得意先に渡すお金を交際費に認定されないためには、あらかじめその金額の計算基準を定めておくことが必要です。
(2)情報提供料等…取引に必要な情報を第三者から受けたことに対して報酬を支払う場合、その報酬があらかじめ締結された契約に基づき計算され、その役務内容が明確に規定されていれば、交際費から除外することができます。
(3)広告宣伝費…取引先等にカレンダーや手帳などの少額物品を配布する費用は広告宣伝費で処理できます。これに対し、高額な物品を贈る場合や、特定少数の取引先だけに贈答する場合には交際費に認定される危険性が高くなります。
(4)福利厚生費…従業員の慶弔費や慰安旅行などの費用は、一定の基準に従って概ね一律に支出されるものであれば福利厚生費処理で問題ありません。これに対し、役員だけを対象とする旅行や社内規定に基づかない高額の慶弔費などは交際費に認定されます。
(5)会議費…取引先との商談、打ち合わせ、会議などのため、茶菓・弁当などの飲食物を供与するために通常要する費用は交際費から除外することができます。したがってランチ程度の食事代や喫茶代などは、会議費処理して問題ありません。
(6)飲食費…平成18年度税制改正によって飲食等に要する費用で、その飲食費を飲食等に参加した人数で割って計算した一人あたりの金額が5,000円以下である飲食費については交際費から除外されることとなりました。ただし、この規定は一定の書類を保存している場合に限り適用されます。一定の書類とは、飲食をした年月日、飲食に参加した得意先等の氏名、飲食に参加した人数等が記載されたものをいいます。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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