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累進課税を念頭に置いた節税策

所得税や贈与税などは、累進税率で課税されるということですが、節税という観点からは、どのような点に注意したらよいですか。

多額の所得は、出来る限り複数年度に分散させたほうが有利です。
親族間での所得の分散にも配慮しましょう。

解説

1.累進課税のしくみ
累進課税という課税のしくみは、「応能負担原則」という考え方に基づいて発明されたものです。人数が二人なら入場券も二人分、というやり方は、税務では比例税率といいます。つまり、ある一定の率(あるいは額)を設けておき、あとは課税対象の増減に比例して負担する金額も比例的に増減するというやり方です。これは一見公平に見えますが、「貧乏人も金持ちも同じだけ払えというのか」というような批判には耐えられません。そこで考え出された、金額が増えるにつれて負担する率そのものが増えるようなやり方、それが累進課税というわけです。つまり一人なら入場料は1,000円だけれども、二人だと2,500円ですよ、ということです。したがって、一般的には「まとめてやるんだから安くしてよ」という交渉が行われますが、累進課税の世界ではまとめると逆に高くなってしまうのです。このため、累進課税を前提とした節税策は、本当は三人なのにどうやったら一人ずつ別々に入場できるか、を考えることを意味します。

2.家族で仕事するなら奥さんにも給料を
ところで、奥さんや子供と一緒に仕事をされている方の場合、家族間での所得の分配ということにどの程度配慮されているでしょうか。それが個人事業で営まれていても、会社組織となっていても、複数の家族が一緒に一つの事業を営んでいるときは、給与などの取り方の工夫によって、一家全体として負担する税額に差違が生じることがありますので、是非注意したいものです。
それではどうするのが一番有利か。理論的には、全員が同額の所得となるように分配するのがベストの方法です。何故なら、累進課税では誰か一人のところに所得が集中すると、その部分の税率が跳ね上がる仕組みになっているからです。たとえば夫婦で商売を営み、年間2,000万円の利益が上がったとしましょう。これを夫婦が分配する場合、その分配のパターンに分けて税額を試算してみると次のようになります。

パターン 夫の所得 夫の所得税 妻の所得 妻の所得税  合計税額 
2,000万円 520.4万円 0円 0円 520.4万円
1,500万円 341.4万円 500万円 57.25万円 398.65万円
1,000万円 176.4万円 1,000万円 176.4万円 352.8万円

このように、夫婦が1,000万円ずつ同額で所得を申告するのが、最も有利となることが分かります。
しかし問題は、計算上最も有利である方法が、税務署に認めてもらえない場合があるということです。上記の例でも、夫と妻が同じ能力で同じ時間だけ仕事に従事しているのなら問題はありませんが、妻は家事に忙しくて夫の半分程度しか仕事していないという場合には、当然認めてもらえません。
そもそも個人事業の場合には、家族従業員に支払う給与を経費として認めてもらうためには、あらかじめ「青色事業専従者給与の届出書」という書類を税務署に提出し、事前に給与額を決定しておくことが必要なのです(会社組織の場合には、そのような手続は必要ありません)。このように、有利な方法にはそれなりのハードルがあります。所得を家族に分散して節税を図るには、事前にそれら手続の有無を確認し、金額も妥当と認められる範囲にとどめなければなりません。
(平成22年4月現在の法令に基づく)

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