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相続がトクか贈与がトクか

相続対策として妻子に財産を贈与したいと思いますが、そうすると贈与税の負担が心配です。相続税と贈与税では、どちらのほうが重いのですか。

一般論としては、相続税より贈与税のほうが重い税金です。ただし上手に計画すれば、生前贈与でもかなりの節税効果を得られます。

解説

1.贈与税はいくらかかる?
(1)贈与による節税対策の考え方
死んだときには高額の相続税。そうかと言って生きているうちに贈与をすれば今度は贈与税が待ちかまえている。まったく税金というものは上手くできており、簡単に節税させてはくれません。
それなら元気なうちに贈与をして未来の相続財産を減らしておくか、それとも何もせずに相続まで待つべきか。節税対策を実行するにはその判断が必要になるわけですが、理論的にはその決定は至って簡単に行えます。すなわち、相続税の税率と贈与税の税率を比較して、贈与税の方が安いなら、税金を納めてでも生前贈与をしておけば、将来の相続税がそれ以上に軽減されるからです。
(2)贈与税の税率は
そこでまず、贈与税の税率を確認しておきましょう。スペースの関係ですべて
をご紹介できませんが、贈与税の税負担は次のようになっています。

贈与を受ける金額 納める贈与税額 実効税率
100万円 0 0.0%
300万円 19.0万円 6.3%
500万円 53.0万円 10.6%
1,000万円 231.0万円 23.1%

(3)相続税の税率は
それでは相続税の税率はどうなっているのでしょうか。実は相続税の計算はかなり複雑であり、簡単にご説明することができません。そこで結論部分だけを要約してご覧頂くことにします。

遺産額 相続税の総額 実効税率
1億円 0 0.00%
3億円 2,146万円 7.15%
5億円 5,850万円 11.70%
7億円 9,900万円 14.14%
10億円 16,650万円 16.65%

※相続税の納税額は、相続人の人数により、また配偶者の有無により大きく変化します。ここでは配偶者と子供二人の場合をご紹介しましたが、それ以外の場合の税額を知りたい方は、事務所までお問い合わせ下さい。
(4)一つの判断例
たとえば妻と子供二人がある方が、現段階で評価額3億円ほどの財産を持っているとしましょう。この場合、今すぐに相続が起きれば相続税は2千万円強かかるわけで、したがって実質7.15%の税負担となります。それなら毎年300万円の贈与をして贈与税を納めても、その負担(6.3%)のほうが安いわけで、したがって積極的に贈与をすべきだということになります。ただし年当たり500万円の贈与をしてしまうと、贈与税の税率のほうが高くなり逆効果となります。

2.相続税の試算には不確定要素が多すぎる
このように理論的には簡単な話なのですが、現実にはそうも行きません。というのは相続が何年後に起きるか、そのときまでに財産があとどの位増えるのかあるいは減るのか、誰にも分からないからです。したがって厳密な意味で正しい判断を下すことは不可能です。しかし、たとえば現在10億円の財産を所有している方が5年後に無一文になってしまうということは、常識的には考えられません。
そういった意味では、概ねの流れとして相続税がどの程度かかるのかの判断はつくわけですから、これを一つの判断材料として生前贈与をすべきかどうかをご検討下さい。また、ご承知のとおり贈与税には年当たり110万円の基礎控除額があります。基礎控除以下の贈与の実効税率は明らかにゼロですから、いくらかでも相続税がかかるのであれば、110万円以下の生前贈与には明らかな節税効果があります。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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