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消費税の計算のしくみ

事業者として税務署に消費税を納税する場合、お客様から預かった税金をそのまま支払うことになるのでしょうか。

原則として、徴収した消費税と支払った消費税の差額が納税額になります。
簡易課税を選択すれば、売上に一定の率を乗じた金額が納税額になります。

解説

1.消費税納税額の原則的な考え方
消費税は、消費者が負担する税金です。したがって納税の事務手続を行う事業者は、その事務に伴って損も得もしない、というのが基本的な考え方です。つまり、一定の期間(個人事業者は暦年、法人は事業年度)ごとにお客様から預かった消費税をそのまま納付すればいいわけです。しかし単純に売上にかかる消費税を納付させると、事業者は損をしてしまいます。なぜなら事業者も各種の支払のたびに消費税を支払っているからです。そこで、一年間に売上について預かった税金を集計(税抜き処理の場合は仮受消費税勘定に集計)し、そこから同期間の仕入について支払った消費税の合計額(同じく仮払消費税勘定に集計)を控除して、その残額を納めることにすれば損も得も生じません。このような計算のやり方を「原則課税」といいます。具体的には次のようなイメージになります。
①1年間の売上高100,000,000円(その5%が預かった消費税:5,000,000円)
②1年間の仕入高 80,000,000円(その5%が支払った消費税:4,000,000円)
③消費税の納税額①-②=1,000,000円
※この納税額は当期利益の5%((1億円-8千万円)×5%)に一致しており、まさしく利益の5%を納税したことになります。
このように、原則課税という計算のしくみは至って公平でわかりやすいのですが、一つ大きな問題を抱えています。それは、ここでいう「仕入」がいわゆる商品仕入などよりずっと広い概念であるということです。消費税の世界では、消費税を上乗せして支払うものをすべて仕入(性格には課税仕入)といいます。つまり店舗の家賃や光熱費、電車賃など、要するに5%を上乗せして支払うものはすべて仕入になるのです。車やパソコンなどを買った場合、通常の経理では資産に計上しますが、これも消費税では仕入になるのです。さらにややこしいことに、たとえば同じ交際費の勘定でも飲食代は仕入ですが、結婚祝金や香典など消費税を上乗せしない支払は仕入から除外しなければなりません。このように上記計算例の②の「仕入高」の集計は、一見簡単そうですが、実は非常に大変な作業です。

2.簡易課税というやり方もある
原則課税という本来の計算方法を強制すると、事業者は税金的には損も得もしないけれども、仕入にかかる税額の集計のため事務コストではかなりの負担を強いられることになります。そこで一定規模以下の小規模な事業者にはもう少し負担を和らげる方法が考えられました。それが「簡易課税」という計算の仕方です。
これは、一言でいえば仕入にかかる税額を集計しなくてよい方法です。つまり、売上について預かった税額(仮受消費税)を集計し、その金額に一定の率を乗じた金額を仕入にかかる消費税とみなして、納税額を算出するのです。こうすれば消費税の納税額の計算は飛躍的に楽になります。
ただし問題はその「一定の率」です。理想は実際の仕入率と同じにすることですが、それは不可能ですので、なるべく実態に近づけなければなりません。そこで消費税法は、業種ごとに五段階のみなし仕入率を設定しました。具体的には卸売業(第一種)は90%、小売業(第二種)は80%、製造業等(第三種)は70%、不動産・運輸通信・飲食以外のサービス業(第五種)は50%、それ以外はすべて第四種として60%を適用します。たとえばコンピュータソフト開発業は第五種になりますので、売上の50%を仕入とみなし、売上が1億円であれば納税額は下記のように計算します。
1億円×5%(売上の税500万円)-1億円×5%×50%(仕入の税250万円)=250万円
したがって、もしこの事業者が実際の仕入について支払った消費税が200万円であったとすると、結果として50万円得をすることになります。いわゆる「益税」がここに登場するわけです。このように簡易課税は事業者に有利に作用する場面もあるため、基準期間の売上が五千万円以下で、かつ、事前に届出をした場合にのみ適用できることとされており、しかもいったん選択をすると最低2年間はその適用を継続しなければならないこととされています。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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