須田邦裕の「今月の一押し!!」
2002.01.04  今回の一押しは該当ありません。すいません。
 明けましておめでとうございます。本年もどうかよろしくお願いします。
 このスペースは、私のプライベートな空間として好き勝手に書き込みをしているわけですが、今回はお正月ということで、冒頭オフィシャルなお見苦しい場面がありますことを先にお詫び申し上げます。

 さて昨年は、高校生の力を借りてこのホームページを立ち上げることができ、どうにかIT革命の波に乗り遅れずに済みました。江本先生、ありがとう。しかしまだまだ中身は未熟。従来以上に職員のみんなの力も借りて、面白いページにしていければと思っています。
 一年の計は元旦にあり、といいますが、私も最近はフルアクセルから少しペースダウンして、あまりネジを巻くことはしなくなりました。したがって大きな目標は立てません。なるようにしかならない。でも自分の専門分野をちゃんと勉強していれば、なるようにはなる。来る者は拒まず、去る者は追わず、頂ける仕事は誠実にこなす。自分の実力よりも少し上の仕事までなら臆せずに引き受ける。こういったスタンスで今年も頑張りたいと思います。どうかよろしくお願いします。

 話は突然変わりますが、私は最近の日常生活の実感として、@多くの業態において寡占化が進む、A若者のモラルが低下の一途をたどる、という2点に結構強い恐怖心を抱いています。Aはアホくさいので取り上げませんが、@は、やはりIT革命の産物ですね。1億円と入力するのも1万円と入力するのも作業の手間は殆ど変わりませんから、今まで中小零細企業の専売だった細かい仕事に大手がどんどん参入してくる。したがってロットが小さく効率の悪い零細業者は価格競争に負けていく。この構図はさらに進むのではないでしょうか。昼めしが200円台で食べられ、セーターが980円で手に入るのですから、消費者にとっては有り難いことですが、事業者には恐ろしい現象ですね。でもその一方で、これも強く実感することですが、個人の悩みを相談できる相手が確実になくなっていく。

 かつては顔なじみの八百屋や魚屋のおじちゃんおばちゃんと挨拶を交わしていたのが、気がつくと周りには機械みたいな会話しかできないフリーター店員だけになっている。「うー今日は寒いねー」「はいお客様、牛丼ですね。ありがとうございます。ナミギューイッチョー!」これ現実ですよね。だからたまに普通の会話ができる人と行き会うとすごくほっとする。アフリカの奥地で久し振りに日本人に出会ったみたいな(行ったことないから分かりませんけど)。セーターを980円で売っているのもすごいけど、そのセーターが不良品だったときにお客のクレームにちゃんと対応できる店員がいたらそのほうがもっと驚く。もう連れて帰りたくなっちゃう。居酒屋に行っても、席に座るまでに店員さんと普通の話が出来ると途端に気分が良くなって酒がうまくなる。こういう経験ないかなー。

 私は、ここに我々の仕事がまだまだ伸ばせるヒントがあると思うんですよ。無駄話は大切ですよね。無駄話が出来る、ということはマニュアルに頼っていない、ということは実力がある、ということは人から信頼されている、ということは黙っていても相談を持ちかけられる、ということは商売が繁盛する。この図式は人間以上の知能を持ったロボットが登場しない限り、いや、登場しても、IT革命では実現できない商売繁盛の方程式ではないでしょうか。私はこれを目指したい。今年の目標は、「落語家のような」かな。

 さて余計な話が長引いてしまいました。このスペースは「今月の一押し」でしたが年末は忙しくて自分が押されている状態で、押すものは見つけられませんでした。そして正月休みも、仲のいい友人が家族で家に遊びに来てくれた以外はこれといった行事はなく、気のおもむくままにお寺や街を散策した程度(実はこれが一番)でしたが、そんな中で、上野の森美術館にニューヨーク近代美術館(MoMA)名作展を見に行ってきました。ピカソ、マティス、モディリアニ、ミロ、ダリなど、凄い作家の作品が目白押しでしたが、正直なところ衝撃的というところまでは行かなかったなあ。ルネ・マグリットのが2点あって、この人のシュールだけど哲学的な作風は以前から好きだったので面白く鑑賞させてもらいましたが、その他は、その日の私の心には届かなかった。残念。そんなわけで今月の一押しは「該当なし」。酒飲み過ぎかなあ?まあ、そういうときもあるよね。

  戻る