須田邦裕の「今月の一押し!!」
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2004.01.25 今回の一押しは「板橋廣美」だあ!
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また新しい一年が始まりました。私の「今月の一押しコーナー」も足かけ4年目に突入することになり、過ぎゆく時の早さを実感せずにはいられません。この間、多くの方からご感想やご意見を賜り、またネットを通じて見ず知らずの方とも交流することができ、大変ありがたく思っております。今しばらく継続してみる所存ですので、変わらぬご支援をお願いします。 その延長からか、ちょっと分かりづらいかもしれませんが、どちらかというと形のない、あるいはコンパクトなものが好きになってしまいました。たとえば建物。「一生懸命働いて自社ビルを建てる」なんて男の夢なんでしょうが、本音を言うと私はこの「自社ビル」というのがどうも好きになれません。もちろんそれなりの事業規模と歴史があるならば、しっかりとした本拠地を構えるのはとても大切なことですから是非実現していただきたいものですが、私のような一代限りの浮き草稼業にはそぐわない気がする。そのときそのときの状況に応じてやどかり暮らしをしたほうが拘束されなくていいですし。 話が脱線しましたが芸術もしかりで、私は絵画が好きですが、それは小さな平面に深遠な空間が描かれているからであると同時に、たった一枚の紙切れですから飽きたときにはたんすの隙間にでも仕舞っておける、というコンパクトさが起因しているような気もします。したがって彫刻作品のように立体的なものはどうも苦手で、いまだによくわからないし、申し訳ないがあまり真面目に鑑賞したこともありません。究極は音楽で、それ自体にはそもそも形がないわけで、自由でいいですね。そして媒体といっても厚さ数ミリのCDなら何枚あっても苦にならない。要するに、なるべく空間を占領しない、世の中にご迷惑をお掛けしないものが気楽でいいという感じで、気が小さいというかせこいんですかねぇ。 ところが最近、その性癖に少し変化が生じました。それは板橋廣美さんという陶芸家の作品に出会ってからのことです。 さて、とはいうものの、美術館に納められるようなオブジェを一般家庭に置くわけにもいきませんし、きっと高価で手が出ないでしょう。ところが有り難いことに、板橋さんには生活道具としての磁器の作品も沢山あります。これがまた秀逸で、「くぼみがあればそれが器だ」というご本人のコメント通り、実にシンプルで美しい作品ばかりなのです。
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