須田邦裕の「今月の一押し!!」
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2004.08.17 今回の一押しは「ポイントカード」だあ!
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それは「ポイントカード」のことなのです。私は仕事柄、いろいろな方と「不景気なこの時代にどうすれば売上を伸ばせるか!」なんていうテーマについて議論をしなければならない場面があるのですが、そんな中で必ず出てくる話に「顧客囲い込みにはメンバーカードがいいな」とか「メンバーを優遇して優越感を持たせなきゃ意味ないよ」とか「それなら利用回数に応じてポイントなどでメリットを与えるのはどうだ」なーんていうのがあるんですね。 だからあちこちのお店が「コーヒーカード」とか「CDカード」とか「薬局カード」なんていうのを発行して、あっという間にお金以外のもので財布が膨らんでいくわけです。私の財布にもそういうのが何枚も入っているのですが、しかし以前からすごーく不思議に思っていて、誰にも言えずに一人悩んでいたカードがありまして。 何が悩みかって、考えてみるとあれはすごーく不思議ですよ。たとえば「ポイント還元20%!」なんていう広告があります。これを見ると大概の人が「うわぁすごい!20%も安くなっちゃうのかー」と感激するわけですが、20%のポイントってあまりに凄すぎると思いません?「ハンコを10個ためたらコーヒー1杯サービス」程度ならかわいいものですが、100万円の買い物をすると20万円のポイントが付くって何だか変。変だと思うのは私だけなんでしょうか。 何が変か。たとえばアテネオリンピックをプラズマで見よう!なんていうテレビコーナーに行くと大型液晶テレビに50万円という値札が付いていて、その横に「ポイント還元率20%」なんて書いてあります。これって、売価40万円とズバリ書いてあるお店とどこが違うんでしょうか。なぜそんなややこしいことをするのでしょうか。しばらく前に、定価と売価という怪しげな表示を是正するために「オープン価格」という制度が導入されたのに、何だか同じことの繰り返しなのではないか。まずそんな疑問が頭を巡ります。 続いて。その液晶テレビを会社の備品にするために、ある会社の購買担当者が買いにきたとします。個人のポイントカードを持って。そうするとそこに付くポイントは誰のものなのでしょうか。やだなー、またまた職業的な詮索癖が出ちゃって。なんて言われそうですが、でも、これって結構ヤバい問題ですよ。 そんな議論を聞いたことがないのであまり大きな声では言えませんが、正しく言えばその10万円は会社のものであり、したがって会社はそのポイントという名の金券相当額を収益として計上すべきではないでしょうか。まあ、ここは仕事のHPではないので深入りはやめておきますが。 さらに。「ポイント還元率20%」と言われると、実質20%引きで買ったのと同じことだと思っていませんか?私は最近までそう思っていたのですが、どうやらこれが少し違うみたいなんです。 つまり。ポイント還元でためたポイントは、そのお店の店頭表示価格としか交換できない。ポイント還元はないのであーる。ということは、ポイントは実質40万円のものを50万円で買うのと同じことであって、そのポイントの実質価値はポイント還元率だけ低いことになる。うーーむむむむむむ。難しい。ややこしい。結局よくわからん。 あ、呉々も誤解のないように申し上げておきますが、私はこのポイント還元システムを批判しているわけでは全くありません。実にうまい仕組みで、みんながトクした気分になれて、ときにはほんとにトクをして、お店は儲かって。ほんとに大したもんだなと感心しているわけです。というわけで今月の一押しは「ポイントカード」でした。やっぱり世の中は単純そうで複雑、一昔前に流行った「ファジー」な感じがいいみたい。でも結局は頭のいい人が勝てる仕組みになっているのかねえ…
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