須田邦裕の「今月の一押し!!」
2004.09.13  今回の一押しは「すずちゃん」だあ!

  今年の夏は暑かったですね〜。ほんとーに暑かった。暑かったけれども、しかし9月になるとちゃんと秋が来るところがすごい。ここのところ、朝晩は虫の鳴き声の大合唱に救われる思いです。というわけで今回は虫にちなんだ秋らしいお話を少し。

 私は月に1,2回、決まって土曜日に関越自動車道をぶっとばしております。それはゴルファーに変身するからなのですが、このコーナーをご愛読下さっている皆様は先刻ご承知のとおり、目的地は群馬県にある伊香保カントリークラブというコースです。
 宿敵ライバルの新井クンも岩崎クンも、早く戦いを始めて早く帰るのが好きなので、私は決まって朝5時半頃に大泉インターを発ち、熾烈な戦いを済ませた後、午後2時頃には渋川インターを乗るのです。そんなわけで私、日本道路公団には相当のお支払いをしております。
 
 つい最近も、8月中旬の土曜日に早朝からの「いくさ」があり、それに疲れた私は、午後の睡魔に堪えきれずに関越自動車道上り車線の寄居パーキングエリアというところで一休みすることにしました。
 そしてしばらく仮眠を取った後、お茶でも買おうかなーと売店に足を運んだとき、そこで思いもかけない懐かしいものを発見してしまいました。
 それは、虫かごに入って売れらている鈴虫です。昔懐かしい虫かご。その中には鈴虫のオスが2匹、メスが2匹入って、ご丁寧にナスの切り身もついて、800円くらいの値札がついていました。なんだか急にうれしくなって、私は後先考えずにこれをレジに運んでしまいました。

 その日以来、鈴虫くんは我が家の家族となりました。私はこの子たちに「すずちゃん」と名前を付けてかわいがっております。梨の芯、トマトのへた、キャベツのかけらなど、毎日メニューを変えてごちそうを与えます。そのせいか、よく鳴くんだなー、これが。
 買ってきた翌日に、虫かごのふたの閉め方が甘かったために2匹が脱走いたしました。玄関先で干からびている無法者を発見したときにはガッカリしましたが、うまい具合にオスとメスのペアが残ってくれました。
 たった一匹しかいないオスですが、羽を垂直に立てて、後ろ足を踏ん張って、全身を震わせて実に大きな音でよく鳴きます。偶然かもしれないけれど、私がギターの練習をするとそれに合わせるようにリーンリーンといい声を出してくれます。

 聞くところでは、 鈴虫の寿命はわずか100日程度とのこと。鳴くのはその最後の20日間だけで、産卵期に入ったメスは、鳴いているオスを食べてしまうんだとか。きゃー恐いー。虫の世界も、人間と同様、女の方が強いんだなー、なむあみだぶつなむあみだぶつ。幸いにして我が家ではまだその惨劇を目にしていませんが、卵をたくさん産んでくれたら面白いなと思っています。

 
 すずちゃんの入った虫かご

 動物は実に可愛いですね。人間関係には面倒くさいことが多いのに、なぜか人は手のかかる生き物に惹かれてしまうようです。
 私も、昔のことを思い出してみると、実にいろいろな動物たちと関わってきました。自分が子供だった頃には、夏といえば必ず肩から虫かごを下げて、鈴虫には縁がありませんでしたが、虫取り網を持って、毎日のように蝉やトンボやカブト虫を追いかけました。 

 そして動物ではなく人間の子供を飼う?ようになり、その子たちが成長するにつれて、再び動物たちとの付き合いが始まりました。
 金魚や亀は言うまでもなく、ドジョウやナマズも飼いました。手乗り文鳥もやりましたね。まだ毛も生えそろわないヒナを買ってきて、あわやひえをお湯で溶いてスポイトで吸い取り、ヒナの黄色いくちばしに注入。これを毎日繰り返していると、鳥は私を親だと思うようになり、家の中を自由に飛び回っていても、手をパンパンと叩くとすぐに現れて肩や手に乗る。本当にかわいいもんです。家の中で構わずフンをするのが困りましたが、人間の子も似たようなものだったので楽しく遊びました。

 カブト虫もやりましたよ。「カブト虫のつかみ取り」というのに行って10匹くらいもらってきたのがきっかけで、金魚を飼っていた大きな水槽に腐葉土を入れて、毎日スイカをやりました。この水槽をしばらく放っておいたら、その腐葉土がだんだん減っていくのに気がつき、ある秋の日曜日にこれをひっくり返したら中から白い幼虫がゴロゴロ出てきたのには驚きました。
 それから月に一度は腐葉土を入れ替えて世話をしたところ、翌年の7月頃にはあの特有のにおいが土から漂い始め、後から後からカブト虫が出てきました。合わせて100匹くらいはいましたかねえ。これを2年続けました。

 アマガエルも飼いましたね。田舎の田んぼで捕まえたアマガエルを家に連れてきたのですが、餌に困りました。図鑑などを調べたらカエルは動くものしか食べないとのこと。そこでペットショップに行き、小鳥用のインチウォームとかいうイモムシを買ってみました。
 これを割り箸の先に挟んでカエルの顔の前に持っていったら。いやー、すごい。自分の体と同じくらいの大きさの虫にパクッと食いつくのです。そしてそのまま溶けるまでじっとしている。
 これが面白くて面白くて、毎日仕事から帰ってくると、ネクタイもはずさないで冷蔵庫の虫を取りだし、カエルちゃんにあげました。アマガエルは小さいグリーンで可愛いけど、餌がよすぎたのか、だんだん茶色く大きいカエルになってしまいました。

 もちろん犬だって飼いました。メスの雑種のみみちゃんです。子供が「絶対世話する〜」というので知り合いの方から頂いてきたのですが、案の定だまされました。雨の日も雪の日も、毎晩私がコンビニに行くついでに散歩させました。あの頃は子供も小さく、私にはいろいろな意味でゆとりがありませんでした。今ならもっと可愛がってやれたろうなと、みみちゃんには少し申し訳ない気持ちがありますが、幸か不幸か、我が家を建て替えることとなったときにみみちゃんは田舎のおばあちゃんの家に預けられたのです。
 そして今も、みみちゃんはおじいちゃんとおばあちゃんに大切にされて、ときどきテレビを見せてもらったり、生卵を飲ませてもらったりして幸せな毎日を過ごしているようです。もうおばあちゃんになりましたけど。

 
  みみちゃん

 そんなこんなで私は結構いろいろな動物を飼ってきました。そして一番手間のかかった人間の子供たちも、大きく成長して巣立ち始めています。なんだかまた淋しくなってきて、アイフルのCMのおとーさんのような心境です。また犬飼いたいなーーー。でも今の生活では無理だしなーーーー。というわけで今日もすずちゃんで気を紛らわせています。そんなわけで今月の一押しは鈴虫の「すずちゃん」でした。 リーンリーンとほんとにいい声だよ。ちょっとうるさいけどね。


  
 


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