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  須田会計事務所メールマガジン      000161   2005.11.21発行
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 □□今週の一言□□
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 みなさんおはようございます。いよいよ11月も下旬です。あっという間に12月ですね。12月といえば年末調整があります。みなさまのお手元にも、生命保険や損害保険の控除証明書が届いているかと思います。さて、今年からこれらの証明書の他に国民年金の証明書を添付又は提示する必要があります。国民年金保険料をお支払いの方は、この国民年金の証明書を無くさないようにご注意下さい。

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 □□税務豆知識□□
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 最近、東京では一部の地域で不動産取引が活発化してきているようです。昔のバブルの時とは違い、人気のある地域に限った静かなブームなようです。一時期に比べ安くなったとはいえ、東京の土地は高額ですから土地を購入し、建物を建てるとなると相当の支出を覚悟しなければなりません。一部の富裕層はともかく、一般の個人ではなかなか手が届かないものですが、親族などが従来から土地を所有しており、余った土地を無償又は低額で借りることができれば、マイホームを手に入れることもできるかと思います。しかしながら、このように土地の所有者と建物の所有者が異なる場合には、「借地権」の問題が生じることになります。
都市部では、土地を借りた際には、この「借地権」の対価の支払いとして、多額の権利金と呼ばれる一時金を支払うのが通例です。しかしながら、親族間の貸し借りの場合、地代の支払いはあったとしても、権利金は高額になることから、支払われないことも多々あるでしょう。このような場合、通常、賃貸人から賃借人に対し、借地権相当額の贈与があったものとして取り扱われ、賃借人は多額の税金を支払わなければならない事態が生じることもあります。しかしながら、一定の場合には、「借地権」の税金を関係させないこともできます。そこで、今回は、親族から土地を借りた際に「借地権」の税金が生じないケースについてご紹介致します。
土地を借りた場合、通常、@権利金を支払い、通常あるいは通常以下の地代を支払うケース、A権利金を支払わず、権利金相当部分を加味した相当の地代と呼ばれる通常の地代よりも多額の地代を支払うケース、B権利金を支払わず、通常あるいは通常以下の地代を支払うケース、C権利金を支払わず、地代も支払わないあるいは固定資産税相当額の極めて少額の地代を支払うケースなどが考えられます。@又はAのケースの場合、権利金あるいは権利金相当額の支払いがあるため、借地権に関する税金は生じません。また、Cのケースについても、通常の賃貸借と異なり、使用貸借と呼ばれ、賃借人の権利が弱い代わりに借地権が発生しないことになっています。つまり、通常の賃貸借に該当し、権利金相当額の支払いがないBのケースの場合には、借地権の贈与があったものとして、税金が発生することがあります。
したがって、親族から土地を借りる際には借地権相当額の贈与を避けるためにも、無理に地代を支払うのではなく、無償あるいは固定資産税相当額以下の地代とし、使用貸借になるように留意した方が良いかと思われます。もっとも、将来、相続が発生した際、賃貸借であれば、賃貸人の相続財産は土地の価額から借地権部分を控除した部分のみになりますが、使用貸借の場合、土地の全額が賃貸人の相続財産となります。つまり、使用貸借の場合、賃貸借に比べ多額の財産が相続財産となるため、賃借人にある程度の資金が貯まったら、賃貸人から土地を買い取るなど、将来の相続対策についても同時に考える必要はあるのかと思います。

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 □□あれやこれや一口コラム□□
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[秋の夜長あれやこれや]
 三島由紀夫の「豊饒の海」第一巻「春の雪」を読みました。全四巻中の第一巻なので、−完−という文字にたどり着く達成感や余韻はまだまだ遠く先の話ですが、この本に限っては何度も挫折を繰り返してきたので、ちょっとした喜びです。
 私が初めてこの本に出会ったのは、30年も昔のこと。大学に通うために下宿していた叔父の家の本棚でした。読み方も意味もよく判らないけれど何となく奥行きを漂わせる「豊饒の海」というタイトル。チャコールグレーのシックな分厚い装丁に描かれた奇妙で美しい色彩のイラスト。気になって手に取り読み始めたのですが、旧い漢字が使われていてなかなかストーリーを負うことが出来ないまま中途半端になってしまいました。
 結婚後に自宅の本棚に「豊饒の海」を発見し、夫がこれを愛読していたことを知りました。この本の主題が「輪廻転生」で、第一巻の主人公「松枝清顕」が第二巻以降、時代を超え国籍や年齢・性別を変えて生まれ変わるが、体の同じ場所にほくろが現れるのだという、何とも壮大なスケールの話であることを聞いて、またまた読み始めました。が、私の読書は読み始めたらひたすらのめり込んで朝までかけて読んでしまうといった傾向で、文字を丁寧に追って、そこに描かれている情景描写の美しさや文章の妙に酔いしれるような読者ではなかったので、三島文学を楽しむに至らず敢え無く挫折しました。
 5年程前にタイに旅行したのですが、暁の寺(ワット・アルン)は素晴らしいですね。船で川を渡ったところに、空に突き刺さるような形で白い塔が美しく輝いていました。何と第三巻「暁の寺」がまさにこれと知り、再び「豊饒の海」を手にしました。折しも本屋さんで、白地にオレンジの背表紙の文庫版「春の雪」を発見して嬉しくなりました。チャコールグレーの単行本は、その美しさに心惹かれたけれど、年月を経てすっかりかび臭くなっていて、持ち歩くにも寝ころんで読書するにも重いし・・・だから読破出来なかったのかと、変に納得して即座に文庫本を全巻購入しました。万全の体制で再開したはずの読書でしたが、悲しいかな、自慢だった視力に翳りがみえ、夜の読書がままならなくなって停滞していました。
 そんな時、なんと「春の雪」が映画化されたことを知りました。ショックでした。だって長年私の中で生きていた「松枝清顕」は妻夫木君よりずっと華奢で神経質そうな感じだし、「聡子」は華やかで勝ち気な雰囲気で竹内結子さんとはまったく違っていました。映画を見に行かなくてもテレビやポスターで目にする映画のイメージに私の「清さま」が塗り替えられてしまわない内に、私自身の「春の雪」を完結させなければと焦りました。そんな気持ちから、ようやく最後まで読み終えることが出来たものの、ふと気が付くと聡子が大阪へ立つ場面を読みながら、私の頭の中で列車を見送っていたのは詰め襟姿の妻夫木君でした。文字からイメージを作り上げるのに比べて、視覚として与えられた映像の決定的なことといったらとても太刀打ちできません。自分なりのイメージを膨らませて自由に空想できるからこそ読書が楽しいので、思い入れのあ る本が映画化されるのはちょっと複雑な心境です。映画に続編がでない内に、早く第二巻「奔馬」を読まなくちゃ。でも、その前に老眼鏡作らなきゃ。

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 □□今週の税金クイズ□□  正解は次回発表しますねー。
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[問題]
 井上さんは、友人と趣味のゴルフをしていました。日も暮れてきた最終の18番ホール!なんとホールインワン!喜んで飛び回っていたら足をギクリ。全治2週間の怪我を負ってしまいました。今回の一件でホールインワン保険と傷害保険がおりました。さて、これらの保険の課税関係はどうなるでしょうか?
@両方とも非課税
A両方とも課税
Bホールインワン保険は課税、傷害保険は非課税
Cホールインワン保険は非課税、傷害保険は課税

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 □□先週の税金クイズの解答発表!□□  
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[問題]
 相続税の申告期限は、相続が開始してから10ヶ月以内だということは皆さんご存じですね?
 期限を1日でも遅れると大変なことになりますが、それでは今年1月23日に亡くなった人にかかる相続税の申告期限は、次のうちズバリどれでしょう?
@11月22日
A11月23日
B11月24日

[正解]B
 相続税の申告期限は、被相続人が亡くなった日の10ヶ月後の同じ日付です。すなわち1月23日に亡くなったのであれば、11月23日が申告期限ということになるわけですが、その日が祝祭日であるとき期限は順延されますので、11月24日が期限となります。br>  
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