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  須田会計事務所メールマガジン      000189   2006.06.12発行
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 □□今週の一言□□
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 おはようございます。今日はいよいよワールドカップ初戦のオーストラリア戦があります!今晩10時から、きっと日本中テレビにくぎ付けですね。がんばれ、ニッポン!

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 □□税務豆知識□□
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<貸倒引当金と貸倒損失>
 盛り上がってますね、ワールドカップ。現地で応援したい!というあなた、悪質な旅行業者に引っかからないように気をつけてください。私(高橋)は以前、旅行代金を振り込んだ翌日にその旅行会社が倒産した、という経験があります。幸い、銀行が振り込みを取り消し返金してくれたので助かったのですが、そんなことが自分の身にふりかかると、本当に焦ってしまします。
 自分の会社の取引先が倒産してしまった、なんて経験ありますか?そんなときは、ただでさえ資金繰りが悪化するもの。税金が少なくなればありがたいですよね。では、債権の貸倒損失はいつ、いくら計上すればいいのでしょうか。取引先が裁判所に破産を申請した場合を例にとり、タイムスケジュールで考えてみましょう。
@当社(3月決算)の取引先A社が平成16年3月に裁判所に破産の申請をした旨の通知が届いた。A社に対する売掛金は100万円。
→平成16年3月決算で債権額100万円の50%を貸倒引当金として計上
A平成16年9月に清算手続きの途中であるが、配当が5万円あった。
→売掛金が5万円回収されたこととなり、売掛金の残高が95万円となる
B平成17年3月決算を迎える。
→前期計上した貸倒引当金は取り崩し、A社に対する売掛金残高95万円の50%を貸倒引当金として再度計上
C平成18年3月、A社の清算手続きが終了し、最終配当が5万円である旨の通知が裁判所から届いた。
→A社に対する売掛金95万円−5万円=90万円を売掛金から貸倒損失に振り替え、売掛金はゼロになる。同時に貸倒引当金を取り崩して利益に振り替える。
 結果として、「A社が倒産した」と認識してから、実際にA社に対する債権を貸倒損失に計上できるまで、かなりのタイムラグが生じることになります。実際、会社の更生手続きや清算手続きにはかなりの日数を要することが多いと思われます。ですから、あわてて売掛金を貸倒損失に振り替えたりしないで、「倒産した」と認識した根拠となる書類等を顧問税理士などに見せ、どのように処理すべきか指示を受けることが一番です。
 もっとも、そのようなことがおこらないよう取引先の与信管理をきちんと行うことが肝要ですが、なかなか中小企業には難しい問題です。

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 □□あれやこれや一口コラム□□
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[減価償却が変わる?]
 政府税制調査会が、来年度の税制改正に向けて減価償却制度見直しを検討すると明らかにしました。日本で採用されている耐用年数が欧米各国と比較して長すぎることや、100%償却を認めている国が多い中で95%までしか費用として計上できない現行制度が、企業の国際競争力の面からも問題ありというのが見直しの理由です。
 有形の固定資産(土地などは除く)は、使用に伴ってその価値が減少していきます。固定資産の取得価額をその使用可能期間に応じて費用配分する仕組みを減価償却といいますが、現行の制度は、使用可能期間を終えた固定資産にも残存価額といってそれなりの価値が残るものと考えています。中古品として売却するなり、スクラップし屑鉄処分するにしてもゼロにはならないとして、会計学的には残存価額は取得価額の10%、税務上は5%と規定し、取得価額から残存価額を差し引いた金額を使用可能期間に配分することとしています。この会計処理は経理を行うものにとって、基本中の基本といった考え方なので、もし残存価額なしで100%償却に変わるとすると、かなりの一大変革です。
 使用可能期間は個々に見積もるのではなく、固定資産の種類別に法定耐用年数が規定されていて、それに基づいて減価償却計算を行います。しかしながら、昨今の技術革新に、制度が追いついていないのは事実で、新しい機械や設備など実務上でも、どの耐用年数を当てはめるべきか悩むケースが増えています。また、IT関連機器などはハード的には使用可能でもソフト的な減価が著しいので、従来の耐用年数が実態に即していないという面もあります。現在の388区分ある複雑な法定耐用年数区分を簡素化させ、長すぎる耐用年数の見直しを図るということなので、こちらもかなりの一大事です。
 とはいえ、この見直しは減価償却費を増加させ、従って国や地方の税収を減少させる結果となるので慎重論も根強く、来年実現するかどうかは、乞うご期待といったところでしょうか。

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 □□今週の税金クイズ□□  正解は次回発表しますねー。
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[問題]
 電気部品製造業である当社(資本金5千万円、同族会社)の海外営業部において、語学研修をしてほしいとの声があり、その必要性が認められたため会社が提携した語学学校に海外営業部に所属する役員、使用人ともに通えるようにしました。この語学学校の費用は、福利厚生費としてすべて損金になりますか?
@役員の分は役員賞与とみなされ損金に算入できないが、使用人の分は福利厚生費として損金となる
A役員の分は役員賞与とみなされ損金に算入できず、使用人の分は損金になるが給与とみなされる
B役員、使用人の分ともに福利厚生費として損金となる

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 □□先週の税金クイズの解答発表!□□  
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[問題]
20階建てのマンション(全ての世帯の面積・間取りが同じと仮定します)があります。このマンションの新築時の分譲価格は、20階の物件が1階の物件より200万円程高くなっていました。さて、このマンションの所有者が亡くなって相続税を計算する場合、マンション(建物)の評価額にはその分譲価格の違いが反映されるでしょうか?
@反映される
A反映されない

[正解]A
建物の相続税評価額は、その建物の固定資産税評価額をもとに計算します。マンションの場合、通常建物全体の評価額を床面積で按分して各世帯の固定資産税評価額が定められているため、どの階であろうと面積が同じであれば同じ評価額が算出されることになります。よって、問題のようにたとえ分譲価格に違いがあっても相続税評価額にはそれが反映されません。

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☆今週号の編集責任者は 須田雅代 & 高橋英江 でした。
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