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  須田会計事務所メールマガジン      000198   2006.08.14発行
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 □□今週の一言□□
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 おはようございます。国税庁は8月1日、相続税や贈与税の土地の評価の基準になる路線価を発表しました。全国平均で14年ぶりに前年比がプラスに転じたとのことで、最近は数字の上からは景気回復を伝えるニュースが増えていますが、実際のところどうなのでしょうか。お盆休みに入りましたが、今週も暑さに負けずに頑張りましょう。

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 □□税務豆知識□□
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<印紙税>
 印紙税は明治6年2月17日に制定され、同年6月1日から施行されました。当時の日本の税金は地租という形で農業に対して重い税金が課されており、商工業の負担は軽いものでした。そこで、印紙税を導入し、商工業を営む人たちからも税金を徴収しようとしたのが始まりです。
 印紙を貼らなければいけない文書のことを「課税文書」といいます。「課税文書」とは以下の3つの点を満たすものをいいます。
@「課税物件表」にその文書に該当する旨の記載があること
A当事者がその事項を証明するために作成するものであること
B非課税文書でないこと
注意しなければいけない点は、その契約書等の名称によってのみで判断するのではなく、その内容によって課税文書に該当するかどうか、またはどの課税文書に該当するかどうかを判断しなければいけないということです。例えば、「100万円を受領しました」という文書を当事者が借用証書として作成したとしても、これは金銭の受領事実を記載したのみですから「金銭の受取書(第17号文書)」として取り扱います。しかし、これに金銭の受領事実のみでなく、返還期日、返還方法、利率等が記載されていれば、借用証書としての内容がそろっているので「消費貸借に関する契約書(第1号の3文書)」として取り扱われます。
 印紙税の納付方法は、その文書を作成した人がその文書に必要な額の印紙を貼り付け、これに消印を押す方法となります。消印は印紙の再使用を防止する目的でされますので、消印を押す人は、その作成者の代理人、使用人、従業員でもよく、その代理人等の消印でも差し支えはありません。また、ひとつの文書を2名以上で作成している場合においても、全員による消印、又はそのうちの1名による消印、どちらでもかまいません。
 もし、印紙を貼らなければならない契約書に印紙を貼っていなかったとしても、その契約書の効力には影響はありません。しかし納めるべき税金を納付していなかったのですから、貼っていなかったり不足している印紙税の額の3倍に相当する過怠税が課されます。ただし、自主的に申し出たときは過怠税が1.1倍に軽減されます。また、貼っていても消印をしていなかった場合には、消印すべき印紙税額と同額の過怠税が徴収されることになるので注意が必要です。
 誤って納付してしまった場合、つまり、貼らなくてもよい文書に印紙を貼ってしまって消印をしてしまった場合や、必要額以上の印紙を貼ってしまった場合には、その金額の還付を受けることができます。還付の方法は、その間違えて貼ってしまった文書、印鑑(法人の場合には代表者印)、還付を受ける銀行か郵便局の通帳を持って、税務署の法人課税部門へ行き、「印紙税過誤納確認申請書」に必要事項を記入して提出します。すると後日その口座へ還付されます。ただし、時効が5年となっているほか、印紙税以外の納付の目的で印紙が使用される場合(例えば国への手数料のために印紙を使用する場合等)には還付されません。

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 □□あれやこれや一口コラム□□
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[読書の夏]
 夏休みです。夏になるとあちこちの書店で「夏の1冊」だとか「夏の文庫100選」だとかいう帯をつけられた文庫が平台に山積みで売られているのを見かけます。学生の時分に夏休みの宿題の読書感想文を書くためにあれこれ本を探したせいか、今でも夏になると本を読まなければいけないような気がしてしまいます。そんな中で最近私がはまっているのが横山秀夫です。上毛新聞という群馬県民ならだれでも知っている地方新聞の記者から作家になった人で、記者時代の経験を生かして警察を舞台にした推理小説を多く書いています。2年前程に映画になり話題となった「半落ち」の作者でもありますが、この夏映画が公開される人間魚雷回転をめぐる物語「出口のない海」のような警察以外を舞台にした作品もあります。最初面白いから読んでごらんと勧められた時は、警察小説と聞いただけで読む気がおきませんでした。が、私は学生時代群馬県の高崎市に住んでおり、作者が上毛新聞の記者だったと聞いて俄然興味が湧き手にとってみたのでした。
 中でも面白いと感じたのが「第三の時効」です。これは全6篇からなる短編集で、謎解きまであっという間なので、長編サスペンスは苦手という人でも気軽に読めると思います。短編すべて舞台はF県警の捜査一課です。個性的な3人の班長率いる検挙率ほぼ100%(!)の超有能な強行犯係1班〜3班の刑事の人間関係を描きつつ、犯罪を暴いていくという仕立てです。推理小説ですから謎解きが軸なのですが、そこに絡むどろどろとした功名心や嫉妬心、猜疑心、それぞれのトラウマ、犯人との心理戦などの人間模様が面白く、短いながらも内容の濃い、息詰まるようなストーリーです。そしてたどり着くトリックがまた面白い!
 特に表題作の「第三の時効」は今か今かと時効を待っている方が万が一いらっしゃいましたら是非読んでおいたほうがいいですよ。タイトルに「第三の」とあり、物語の序盤で第一、第二までは何かが明かされています。じゃあ3番目の時効って何でしょう?実は捜査している刑事達ですら知らないのです。まあこれはちょっと飛び道具という気もするのですが、そのあとに続く結末もなかなか良いのです。個人的には「モノクロームの反転」が面白かったかな。本当にどれも面白いので、お盆の渋滞中にでも助手席で是非読んでみてください。感想文の提出は、免除します(^^)

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 □□今週の税金クイズ□□  正解は次回発表しますねー。
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[問題]
使用人兼務役員に対する賞与のうち、役員分の賞与については税務上の損金に算入することはできませんが、使用人分の賞与については損金に算入することができます。同族会社であるA社の代表取締役である甲さんの、妻である乙さんはA社の取締役であり、さらに経理部長(使用人)も勤め、かつ常時その経理部長としての職務に従事しています。
 この場合、乙さんは使用人兼務役員に該当し、賞与のうち使用人分を損金に算入することができるでしょうか。
 なお、甲さんはA社の株式を60%保有していますが、乙さんは株式を保有していません。
@使用人兼務役員に該当し、使用人分の賞与を損金算入できる
A使用人兼務役員には該当せず、使用人分の賞与を損金算入できない
 
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 □□先週の税金クイズの解答発表!□□  
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[問題]
A工業株式会社(資本金5,000万円)では工事収益について工事進行基準を選択適用しており、工事完成前であっても毎期末に工事進行割合に応じた工事収益の金額を未収金として計上しています。
 この未収金に対して税務上の貸倒引当金を計上することはできるでしょうか?
@できる
Aできない

[正解]A
 工事の目的物の完成・引渡があるまでは、その未収金は貸倒引当金の設定対象となる売掛債権等には該当しません(法基通11-2-20)。

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☆今週号の編集責任者は 山口拓也 & 泉麻里子 でした。
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