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□□今週の一言□□
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お早うございます。お盆休みのせいか、先週は電話もあまり鳴らず、街も道路も何となく静かでしたね〜。いや、決して休みが取れなかったひがみで言っているわけではありませんので。そういえば今年はビアガーデンに一度も行っていないし、かき氷も食べてないな…。忘れないうちに夏を取り戻さなくちゃ!
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□□税務豆知識□□
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<特定支配同族会社の役員給与損金不算入制度について>
こんな漢字ばっかりのタイトルでは読む気も湧きませんが、中小企業経営者の皆さんにはとても重要な情報ですから、是非お目通し下さい。というのも、今年の税制改正で、中小企業に大変大きな増税をもたらす制度が導入されました。それが表題の規定です。かなりややこしい内容になっていますが、概要は次のとおりです。
1.制度のイメージ
従来、会社を作ると節税になる、と言われてきました。その理由の一つに「事業所得の給与化」があります。すなわち個人で事業をして1,000万円の利益が出れば、その1,000万円に所得税がかかりますが、これを法人にして社長の給料を同額の1,000万円に設定すると、会社の利益はプラスマイナスゼロで法人税もゼロ、社長個人は事業所得が給与所得に形を変えることになります。この場合、1,000万円の収入からは「給与所得控除額」が控除でき、その分だけ納税額が節約できるわけです。給与所得控除額は、年収1,000万円では220万円にもなりますから非常に大きな節税効果があるわけで、ここに目をつけた財務省は今回、その給与所得控除額相当額を会社の利益に加算する、という制度を創設したのです(本年4月1日以降に開始する事業年度から適用となります)。
2.対象となるケース
この改正は、個人で事業を行っているのと大差ない実質的な一人同族会社が対象です。そこで次の条件のすべてを満たす場合にのみ、適用されます。
(ア)業務主宰役員(一般的には「社長」)及びその一族の持ち株割合が90%以上であること
(イ)会社の役員の過半数が業務主宰役員の一族で構成されていること
(ウ)過去3年間の会社の所得金額と業務主宰役員の役員報酬との合計額の平均値が800万円を超えること
(エ)(ウ)の金額が800万円を超えて3,000万円以下であるときは、その平均値に占める業務主宰役員報酬の額が50%を超えていること
3.改正の影響
上記2.の条件をすべて満たすときには、その業務主宰役員の役員報酬について計算される給与所得控除額相当額を会社の利益に加算しなければなりません。たとえば会社の利益が400万円で社長の給料が600万円という状況が毎年継続しているとしたら、合計した金額は1,000万円で800万円を超えますので、600万円の場合の給与所得控除額174万円を利益に加算することになります。この場合、1年当たり約70万円ほどの税負担増となります。
4.対応策
この取り扱いを避けるためには、理論的には上記2.の条件のいずれか一つを外すことができればいい、ということになります。したがって対応策としては次のものが考えられます。
(ア)血縁のない人に10%超の株式を持ってもらう(この場合、従業員はダメです)
(イ)常勤役員の過半数を親族関係者以外で構成する
(ウ)業務主宰役員の報酬を引き下げて、加算額を抑える
と書きましたが、赤の他人に株を持ってもらうのはトラブルの元だし、役員にしてあげるほどの従業員もなかなかいないし、社長の給料を減らしたら生活が成り立たないし、というわけでそんなに簡単な話ではありません。この際会社をどんどん大きくして、役員を増やして、株式も公開してと、名実ともに企業化するしかありませんかね…
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□□あれやこれや一口コラム□□
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<価値観の変化>
8月9日(水)付日経新聞掲載記事にビックリ!そこには、どでかいベビーカーが。。。
商品名「ストッケ・エクスプローリー」、ノルウェー製で、幅58cm、奥行75cm、高さ67cm-116cmと、コンパクトで軽い日本製(幅46cm、奥行73cm、高さ100cm)を圧倒し、もちろん自動改札などは通れません。紙上に30代の女性が、「だれもが振り返る存在感がたまらない」というコメントを寄せていました。親の見栄がここまでさせるのか、とちょっと首を傾げてしまいますが、取扱店のホームページ(http://www.daimaru-ess.co.jp/essay/stokke_xplory/xplory.html)を覗いてみると、「いいかも」などと思ってしまうので、不思議です(いや、当たり前か)。
この製品、定価がなんと115,500円。何年も使わないうちに不要となるものにかける値段ではないと思うのですが、やはりちょっと価値観が違うのでしょうか。
少子化の時代に突入し、子供の数は減っているのに、子供市場は伸びの一途。一人しかいないからこその「豪華主義」。親とその両親のシックスポケットに囲まれたちまたの子供達は、まるで雑誌から飛び出してきたかのよう。時代は変わったのね、などと年寄りじみてしまいます。
以前聞いた話に、「何故おたくの子供服は高いのか」という質問を受けた某メーカーの社員が、「うちの服は6年着られます」と、まるで成長を無視した発言をした、というのがあります。ちょっと笑い話的に人に話したら、「もちがいいからお下がりでいろんなお宅にいくらしいよ」と。なるほど、一人で着られる期間は限られているけれど、「お下がり」の発想があったか!
ただ、親のミエが絡むこの一品(ベビーカーね)。もちろん「お下がり」とはかなり縁遠い代物のようです。「もったいない」という考えを持っていた日本人って、どこにいっちゃったんでしょうね(ケニア出身のノーベル平和賞受賞経験者ワンガリ・マータイさんも感銘を受けたというのに)。これについては、自分にも反省すべき点が多々あります。
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□□今週の税金クイズ□□ 正解は次回発表しますねー。
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[問題]
現在所得のない近藤さんは住宅と別荘の二つの不動産を持っており、いずれも所有期間は5年を超えています。住宅には含み損がありますが、別荘はかなり昔に購入したもので、売却すれば利益が見込めます。これら不動産を両方とも売却するとしたら、節税効果が見込めるのは次のどちらでしょうか。
@住宅を今年売り、別荘は来年売る
A別荘を今年売り、住宅は来年売る
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□□先週の税金クイズの解答発表!□□
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[問題]
使用人兼務役員に対する賞与のうち、役員分の賞与については税務上の損金に算入することができませんが、使用人分の賞与については損金に算入することができます。同族会社であるA社の代表取締役である甲さんの、妻である乙さんはA社の取締役であり、さらに経理部長(使用人)も勤め、かつ常時その経理部長としての職務に従事しています。
この場合、乙さんは使用人兼務役員に該当し、賞与のうち使用人分を損金に算入することができるでしょうか。
なお、甲さんはA社の株式を60%保有していますが、乙さんは株式を保有していません。
@使用人兼務役員に該当し、使用人分の賞与を損金算入できる
A使用人兼務役員には該当せず、使用人分の賞与を損金算入できない
[正解]A
乙さんは経理部長も勤め、かつ常時その経理部長としての職務に従事していますので使用人兼務役員に該当するように思えますが、次の要件を満たす場合には使用人兼務役員にはなれず、役員とみなされてしまいます。
<1>その会社の株主を一定の親族等ごとの株主グループに分け、その所有割合が大きいものから順位をつけ、第1順位の所有割合が50%超である場合のその第1順位の株主グループにその者が属していること、又は第1順位と第2順位、もしくは第1順位から第3順位までの所有割合を合計した場合に、初めて50%超となる場合のいずれかの株主グループに属していること
<2>上記<1>の株主グループのうち、その者の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること
<3>その者及びその者の配偶者、並びにこれらの者が50%超を保有する他の会社の所有割合が5%を超えていること
乙さんは、株式を保有していなくても第1順位の株主グループに属しているため、上記すべてに該当することとなり役員とみなされてしまい、使用人分の賞与であっても、損金に算入することはできません。
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