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□□今週の一言□□
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週末はせっかくの三連休でしたが、台風直撃に、新潟・長野地方の地震と、自然の脅威を痛感させられた三日間になりました。「天災は忘れた頃にやってくる」といいますが、この頃は忘れる前に次の天災がまたやってくる気がします。被害に遭われた方々の一日も早い復興を祈りつつ、穏やかな自然が戻ってくれることを願うばかりです。自然を大切に!ですね。
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□□税務豆知識□□
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<国外居住者への贈与>
少し前になりますが、ある上場会社の元会長の長男が香港に居住していた間に親から贈与を受けた外国株式1,330億円について、課税当局から贈与税の申告漏れを指摘されたことにつき、東京地裁が課税処分の取り消しを認める判決がなされました。還付加算金(利息のようなもの)だけでも約130億円に上るということですから、驚きです。このニュースを知って、「海外に暮らしている子供に海外にある自分の財産を贈与すれば、相続対策になるのか」と思われたら、ちょっとお待ちください。というのは、この例は平成11年当時の税法に基づいた判決であり、残念ながら平成12年度の改正により、現行の税法では国外に居住していてもほとんどの場合贈与税が課税されるようになりました。
では具体的にどのようになっているか、財産を贈与する方を親、受ける方を子として考えてみましょう。
まず、親も子も日本国内に住んでいれば、贈与する財産が国内にあろうと海外にあろうとすべて贈与税の対象になります。
次に、親が海外に住んでいる子に対して財産を贈与するケースです。子が日本国籍を有していて、親または子がその贈与の前5年以内に日本に住所を有していたことがあった場合、その財産が国内にあろうと海外にあろうと、日本で贈与税が課税されます。ですから、例えば海外に駐在して6年経った長男に対して、海外の銀行に預けている親名義の預金を贈与したとしても、その親が日本に住んでいれば、日本の贈与税の申告が必要になります。したがって冒頭に取り上げたニュースの事例も、現在であれば、長男に贈与税の納税義務が発生していたわけなのです。一方、もし親が海外に駐在して6年経ち、現地で貯金している預金の一部を、同じ期間海外で暮らしている子に贈与したのであれば、日本の贈与税の対象にはなりません。ただし、その居住している国で贈与税のような税金が課税されるかどうか、確認が必要です。このように海外で親子とも5年以上生活しているような方の海外での財産は、現地で形成されたものと考えられますから、日本の税金が課税されないというのも当然といえるでしょう。
上記のように、日本に住んでいながら、海外に財産を移すことで相続対策をしようということは、現在では難しくなっています。海外に住んでいる方が本当に多くなっている昨今ですが、我々が請け負う相続のお話の中にも、海外に預貯金や不動産をお持ちの方や、相続人が海外に住んでいらっしゃる方がとても多く、日本の国際化の現状を目の当たりにしています。相続人が海外に住んでいるとか、海外に財産を移すだけでは節税にはなりませんが、贈与税の基礎控除額である110万円の範囲であれば、早めに子供や孫に財産を移していくことは、相続対策になります。この方法で少しずつ贈与していく方法がまずは良いのでしょうが、年金問題など、老後の資金についても不安がいっぱいで、どのくらい自身の預貯金を残しておくべきか、悩みは尽きないですよね。生命保険を利用するなど、賢く資金運用することがいいのでしょうか。でも「残すことができる」悩みがあるなんて、羨ましい限り、子供に借金を残さないことだけを考えて懸命に働いている私(高橋)でした。
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□□あれやこれや一口コラム□□
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[ぶんぶん効果]
テレビ通販で爆発的な人気となっている「ビリーズ・ブートキャンプ」。先月ビリー氏が来日した際には、成田空港に200人を超えるファンが殺到したそうです。年齢・性別問わず多くの人が、例の「飛行機ぶんぶん」を知っている・興味を持った・自分も挑戦してみようと思った・テレビの前でまねてみた・購入して体験したのいずれかではないでしょうか。と思ったら、テレビをほとんど観ない所長は、それ何っ?といっております・・・。かく言う私も、テレビ番組の合間に繰り返し流れるあの乗りのいい音楽とかけ声が耳に残り、明るく楽しくエクササイズする画像と健康的に引き締まった腹筋が目に焼き付き、何時の間にか「ビリーズブートキャンプ」と記憶にすり込みされてはいたものの、つい最近までビリーズブートが名前かと思っていた程度の認識でしたが・・・。
ブートキャンプは軍隊の訓練所のことなんですね。ビリー氏考案の軍隊式エクササイズをDVD化して通販で売り出しヒット商品になったのですが、「7日間集中ダイエット」という魔法の言葉に引きつけられるのか、注文が殺到してDVDは品薄だというではありませんか(真偽のほどは不明です)。かなりハードなエクササイズだけれど、画面のビリーに励まされ、筋肉の引き締まりを実感しながら1週間頑張り通して5キロ痩せました・・・といった成功体験談がネット上にたくさん載っているのも、人気に拍車をかけているようです。
それにつけてもダイエットはヒットのツボ、「あるある」で納豆にダイエット効果が・・・と放映された翌日にスーパーの棚から納豆という納豆が消え失せたのには驚きましたが、今度はブートキャンプダイエット。次々とダイエット商品がヒットするのは、裏返せば、納豆だけでなくどの商品にも決定的なダイエット効果がなかったということですよね。それでもなお、「今度こそ痩せられるかも」と期待感を抱かせて新たなブームを巻き起こしてしまう宣伝力は見事です。加えて英語版で
「swing like an airplane」といっているらしいけれど、これを「飛行機ぶんぶん」と命名したコピーライターさん、尊敬しちゃいます!
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□□今週の税金クイズ□□ 正解は次回発表しますねー。
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[問題]
金属加工業を営む当社は12月決算で、毎年2月の株主総会と取締役会を開き役員給与を決定しています。しかしこの6月、社長甲が他界し、息子である専務乙が急遽社長に就任することが臨時株主総会で決定しました。つきましては、乙の役員給与を7月より前任の甲の水準にまで引き上げたいと考えておりますが、この給与は法人税法上、損金として認められますでしょうか。
@役員の定期同額給与は、決算日から3ヶ月以内に増額されたもの以外認められません
A7月に増額しても、このケースは特別に認められます
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□□先週の税金クイズの解答発表!□□
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[問題]
Aさんは先日、相続税の申告書の提出を済ませ、あとは相続税の納付をするだけでした。しかし、当初は相続税を一括で払う予定だったのが、事情により一括で払うことが困難な状況になってしまいました。そうこうするうちに納期限が過ぎてしまいましたが、今からでも相続税の延納の制度を利用することはできるでしょうか?
@できる
Aできない
[正解]A
相続税の延納の申請は相続税の申告書の提出期限(=納期限)までに行わなければなりません。そのため、今回のケースではもはや手遅れということになります。
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☆今週号の編集責任者は 須田雅代 & 高橋英江 でした。
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