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□□今週の一言□□
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おはようございます。先日、友人の結婚式に出席しました。10月は天気が安定しているので、この時期に結婚式を挙げるカップルが多いようです。しかし最近は10月なのに気温が30度を超えるなど、季節外れの天気がだんだん増えてきているような気がします。温暖化の影響かどうかわかりませんが、将来、春夏秋冬という言葉がなくなってしまうのではないかと心配になります・・・。
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□□税務豆知識□□
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<遺言書は絶対か?>
一家の主が遺言書を残して亡くなったとします。遺産を分割するにあたって相続人が納得できるような遺言の内容であれば問題ありませんが、そうでない場合もあるかもしれません。遺産の分割は遺言の指示通りにしなければならないような気もしますが、遺言書があるにも関わらず相続人全員による遺産分割協議により遺言とは異なる方法で分割することもできることになっています。
では遺言の内容とは違った方法で分割をした場合、税金はどうなるでしょうか?遺言の効力は遺言者が亡くなった時点で発生するので、遺産は遺言の内容に従った分割方法で相続人にいったん帰属(@)し、その後の分割協議により再度違った方法で配分(A)した、と考えることもできます。そうすると、@の段階で相続税がかかり、Aではそれぞれの相続人にいったん帰属した財産を再度振り分けたので贈与税がかかるのでは?と思われるかもしれません。
しかしその心配の必要はありません。遺言通りに遺産を取得しなかった場合、遺贈(遺言により遺産を無償で譲渡すること)を放棄したことになり、その結果初めから遺言がなかったことと同じになります。そのため、遺言書があるにも関わらずその内容には従わず相続人による分割協議により遺産を取得しても贈与税が発生することはなく、相続税のみの負担となります。
安易に遺言を無視することは必ずしも良いことではありませんが、節税面その他の事情を考慮して遺言とは異なる遺産分割をすることもできる、ということを覚えておくと良いでしょう。
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□□あれやこれや一口コラム□□
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<裁判員制度>
平成16年5月に成立した「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」ってなんだか分かりますか?私たち一般人が裁判員として刑事裁判に参加する、裁判員制度について定めた法律です。この法律は公布の日から5年以内に施行されるということなので、平成21年の5月までには始まることになります。スタートまであと2年を切っているわけですが、内容がいまひとつ分かりません。
実は最近、映画「Shall we ダンス?」でおなじみの周防正行監督の新作「それでもボクはやってない」を観てかなりの衝撃をうけました。痴漢冤罪事件をテーマに日本の司法制度について描いた映画なのですが、仮に自分があの裁判に参加したとしてどんな判断が下せるのか考えさせられました。映画ですから観ている自分は被告人は無罪だということが分かっています。だけどいきなり裁判員として呼ばれて、提示された証拠と検察と弁護側のやり取りだけで果たして正しい判断ができるものでしょうか?実際映画の中ではプロであるはずの裁判官ですらミスジャッジを犯します(ネタバレすいません)。素人を参加させる意味はなんなのか、せっかくなので制度について調べてみました。
まず裁判員に選ばれるまでの過程です。最高裁判所のホームページを参考にしました。選挙権のある人の中から翌年の裁判員候補者となる人が毎年抽選で選ばれ、裁判所ごとに候補者名簿が作られます。この名簿に載った人にはその旨の通知が届くそうです。事件が発生すると、先ほどの名簿の中からさらに抽選されて、その事件の裁判員候補者が選ばれます。選ばれた裁判員候補者は、裁判長から色々な質問をされ、その答えをもとに、検察官や弁護人は裁判員候補者から除外されるべき人を指名します。ここで除外されなかった人が晴れて裁判員に選ばれるわけです。選ばれる裁判員は6人ですからかなりの狭き門ですが、くじ運の良い方はご用心?
次に裁判員に選ばれた場合何をするかです。簡単に言ってしまうと、裁判官と一緒に刑事事件の裁判に参加するということです。アメリカの映画などでは裁判のシーンには必ず陪審員がいますよね。あれと同じじゃないのと思われるかもしれませんが、1つ大きく違う点があります。陪審員の場合は被告が有罪か無罪かを決めるだけですが、裁判員は、被告が有罪であった場合、その量刑を決めることにも関与するのです。責任重大です。過去の判例も知らない素人ですから軽微な犯罪でも「なに、痴漢だと?絶対死刑!」なんてことがないとは限りません。もちろん裁判官が一緒に評議するのであまり極端なことにはならないのでしょうが、逆に裁判官に誘導されたりしないの?とか、疑問に思います。
肝心の一般市民が裁判に参加することの意味です。最高裁のホームページによると「国民のみなさんが刑事裁判に参加することにより、裁判が身近で分かりやすいものとなり、司法に対する国民のみなさんの信頼の向上につながることが期待されています」だそうです。前述の映画の話ですが、電車の中で痴漢と間違われた主人公は、警察ではひどい取調べを受け、検事にも言い分を聞いてもらえず、留置所で接見した当番弁護士にはやってもいない罪を認めて示談にしたほうが良いと勧められ、担当になった弁護士にすら最初は、無罪なんてどうせうそに決まってると思われている始末です。裁判官なら正しく判断してくれると考えて裁判に臨みますが、結末を見るとそれもどうも怪しいようです。映画の中では再三「裁判になったら99.9%が有罪」という言葉がでてきます。疑わしきは被告人の不利に、なんですね。映画の中だけの話ならいいのですが、実際富山県での婦女暴行の冤罪事件のような例を見るとあながち作り話と笑い飛ばすこともできません。これとは逆にこんな大事件なのに判決こんなに軽いの?と感じることもあります。こういった感覚の乖離を埋めるために一般市民も入れとけというのが裁判員制度、と思うのは私だけでしょうか。
私自身は、閉ざされた世界に一般の感覚が取り入れられる事は良いことだと思うので、決して裁判員制度が悪いこととは思っていません。もし運良く(悪く?)選ばれてしまったら、できるだけ公正な判断ができるよう素人なりに多少は勉強して臨みたいとは思っています。映画の影響でしょうか。ちなみにインターネットで「裁判員制度」と検索したところ、出てくるのは裁判所とか日弁連とか法務省とかいわゆるプロのホームページばかり。一般の人がこれについて書いているものはほとんどなかったです。それだけ肝心の一般市民の関心はいまひとつってことでしょうね。
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□□今週の税金クイズ□□ 正解は次回発表しますねー。
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[問題]
アパートの賃貸業を営んでいたAさんが9月13日に亡くなりました。アパートの賃料は当月分を当月末日に支払う契約になっており、9月分の賃料はAさんの相続人が9月30日に受け取りました。さて、相続税申告の際、9月の13日間分の賃料はAさんの遺産として申告する必要があるでしょうか?
@ある
Aない
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□□先週の税金クイズの解答発表!□□
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[問題]
父は亡くなる2年前に、余生を海外で過ごしたいとオーストラリアに住所を移していました。父は日本国内に財産を多く有していたため相続税が発生します。この場合、日本の相続税の納税地はどこになるでしょうか?
ちなみに相続人である私と私の兄弟は日本に住所を有しています。
@オーストラリア
A被相続人がオーストラリアに住所を移す直前の日本の住所地
B相続人の住所地
[正解]B
相続税の納税地は、相続または遺贈により財産を取得した者の住所地、つまり相続人の住所地です。ただし、被相続人の相続財産は、被相続人の住所地を中心に存在していること、相続人が複数いた場合に同じ相続にかかわる申告書が別々の税務署に提出される不都合を防ぐため、などの理由から、被相続人の亡くなる直前の住所地が国内にある場合には、被相続人の住所地が納税地とされています。本問の場合、被相続人の亡くなる直前の住所地は国外なので、相続税の納税地は、相続人の住所地ということになります。
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☆今週号の編集責任者は 小峰崇志 & 泉麻里子 でした。
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