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□□今週の一言□□
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おはようございます。現在NHKで放映中のドラマ『監査法人』ってご存知ですか?これまでドラマで取り上げられることがあまりなかった公認会計士の仕事が赤裸々に描かれていてなかなか面白いですよ!『ぬるま湯監査』と『厳格監査』の狭間で葛藤する若手会計士の物語。もしよかったらご覧になってみてください。
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□□税務豆知識□□
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<逓増定期保険に関する今後の取扱い>
少し前になりますが、平成20年2月28日に国税庁より『逓増定期保険』の取扱いに関する改正通達が公表されました。これまで節税商品として、企業経営者に広く活用されてきた逓増定期保険の経理処理にメスが入ったのです。結論から言うと、これまで一定要件を満たせば支払保険料の全額が損金経理できたものについて、以後新規契約の逓増定期保険については最高でも2分の1だけしか損金経理が認められなくなってしまいました。
そもそも逓増定期保険とは、会社を契約者、役員や従業員を被保険者とした定期保険で、保険期間中に保険金額が逓増していくというものです。保険期間が長期に及ぶため解約返戻金も高額となり、退職金などの原資にできるとして経営者にとってはメリットが大きい商品でした。ただし保険期間が長期であるため、支払保険料のうち一部は前払い保険料として経理すべきとして、以前から通達が出されていました。その通達が適用される範囲は「保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険のうち、その保険期間満了時の被保険者の年齢が60歳を超え、かつ当該保険に加入時の被保険者年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90を超えるもの」とされ、保険期間の前半において支払った保険料のうち一部は前払い保険料として資産計上することになります。
しかし、同じような逓増定期保険でも上記の範囲にさえ当てはまらなければ、前払い保険料を計上する必要がなく、支払保険料を全額損金経理できるのでは?と保険会社は次々と全額損金経理できる逓増定期保険を売り出したのです。
さすがの国税庁もこれには「待った!」をかけました。通達が適用される逓増定期保険の範囲を見直し、その範囲は「保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険のうち、その保険期間終了時の被保険者の年齢が45歳を超えるもの」となりました。これにより、今まで全額損金経理できていた内容の契約についても一部資産計上が求められることになるので注意が必要です。
ただしこの通達は、平成20年2月28日以後に新規加入した逓増定期保険について適用されるもので、それまでに加入してきた契約分については従来通りの経理処理でよいこととなっているので、少し安心ですね。
国税庁HP
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/kaisei/080228/01.htm
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□□あれやこれや一口コラム□□
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<半夏生(はんげしょう)って何?>
早いもので、今年も折り返しですね。7月のカレンダーをのぞいてみると、7月2日の所に半夏生(はんげしょう)という言葉があります。半分夏が生まれる??一体どういう意味なのでしょう。気になったので調べてみました。
半夏生とは「半夏(はんげ・別名カラスビシャク)」という植物が生え出す頃という意味で、この頃までに田植えを終わらせる目安の日としての役割だそうです。昔はどんなに遅くともこの日までには田植えを終え、それ以降には田植えは行わなかったといいます。天候が不順で気温が上がらず、田植えの時期がずれ込んだとしても、何とかこの日までに田植えが終えられるならば、「半夏半作」といって例年の半分の収穫は上げられるといったそうです。逆の言い方をすれば、これ以降に田植えをするようでは例年の半分の収穫もおぼつかないという意味なのでしょう。
八十八夜が茶摘みの好適時期を表す言葉だったように、半夏生は稲作における田植えのタイムリミットを表す言葉として、日本の生活にはなくてはならないものとして、雑節に取り入れられたものと考えられます。
昔は夏至から数えて11日目を半夏生としました。現在は太陽の視黄経が100度となる日とされています(どちらの方式でも7/1か7/2になるようです)。
現在の感覚からすると、田植えのタイムリミットとして半夏生はあまりに遅すぎるように思えますが、これは江戸時代以前と現在とで稲の品種がちがっている(明治時代以降に品種改良が進み、耐寒性に優れた早稲種が主流となった)ことが大きな原因と思われます。江戸以前の田植えは現在の田植えの時期に比べて1〜2ヶ月程遅い時期だったようで、そう考えると半夏生が田植えのタイムリミットという意味が理解できます。田植えが今より遅い時期だったということは、たとえば旧暦五月(新暦では6月頃)を表すサツキは「早苗月」のことであり、各地に残る御田植え祭りの類の多くが現在の6月頃に行われることなどからもうかがい知ることが出来ます。
また、この日は天から毒気が降ってくるとされていて、この日に採った野菜を食べるのを慎んだり、井戸に毒気が入るのを防ぐために蓋をしたりしたそうです。梅雨の最中なので、食中毒を防ぐという意味もあったのかもしれませんね。地域によっては特定のものを食べる習慣があるそうで、関西では蛸、讃岐では饂飩、福井県では大野市などで焼き鯖だそうです。
何気なくカレンダーに書かれているので、見落としがちですが、ひとつひとつが生活に密着した大切な節目なのですね。
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□□今週の税金クイズ□□ 正解は次回発表しますねー。
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[問題]
有限会社A社と株式会社B社は、諸事情により合併することになりました。
さて、次のうち合併の形態として認められないものはどれでしょうか?
@A社がB社を吸収合併し、A社を存続させる
AB社がA社を吸収合併し、B社を存続させる
BA社とB社は解散し、新たな会社を設立させる
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□□先週の税金クイズの解答発表!□□
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[問題]
福田物産株式会社は、運送業を営む資本金4億円の中堅企業です。同社は今期中にコンピュータシステムの入れ替えを行い、期末月に1台15万円のパソコンを10台(合計150万円)購入しました。この場合、今期の決算で損金算入できる減価償却費は、最大で次のうちのどれになるでしょうか。
@定率法で計算した減価償却費の合計額
A50万円
B150万円
[正解]A
1台30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、1事業年度当たり300万円を上限として、取得価額の全額を損金算入できる「少額減価償却資産の損金算入の特例」という制度があり、本年の税制改正でその適用期限が2年間延長されています。
ただしこの特例は、資本金1億円以下の青色申告法人にのみ、その適用が認められています。したがって資本金4億円の福田物産鰍ヘその対象にはなりませんが、取得価額が20万円未満の減価償却資産については、取得価額を3事業年度にわたって3分の1ずつ損金算入する「一括償却資産」という取り扱いを受けることができます。この制度には会社規模による制約はありませんので、本問の場合、購入金額の3分の1(50万円)が最大償却費ということになります。
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☆今週号の編集責任者は 福岡裕美子 & 吉澤清佳 でした。
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