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□□今週の一言□□
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おはようございます。猛暑から一転、急に涼しくなりました。昨日で北京オリンピックは閉幕し、8月も残すところあと1週間。夏が終わっていくのは少々さみしい気もしますが、今年の夏も暑かっただけに、気持ちの良い秋風が恋しいところです。
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□□税務豆知識□□
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<相続税の課税のしくみ>
先月、政府税制調査会が50年ぶりとなる相続税の課税方式の改正に取りかかった、と新聞で報じられました。この改正とは、亡くなった人の遺産総額をもとに法定相続分で分けて相続税の総額を決める現行方式から、相続人の受取額をもとに個人単位で課税額を決める「遺産取得課税」方式に改めようというものです。まだこれは検討に入っただけですから具体的なことは何も決まっていませんが、簡単に考え方の違いをご説明します。
前述したように、現行方式では遺産総額をまず計算しますので、誰が何をもらうかはさておいて、とにかく残された遺産を洗いざらい出してしまわなくては、相続税を計算することはできません。そして、遺産を仮に法定割合で分けた場合に、各人が納めるべき相続税額はいくらになるのかを計算し、それを合計した相続税総額が決められます。この総額を、実際にもらった遺産の割合に応じて按分し、各個人の実際の納付額が決定します。
例えば、亡くなったXさんの遺産が債務を差し引いた後の金額で1億円、相続人が子供2人だとすると、課税される額は、1億円−基礎控除額(5,000万円+1,000万円×2人)=3,000万円となり、これを法定相続割合1/2ずつで分けたとして計算した相続税は、1人当たり175万円、合計で相続税総額が350万円となります。そして実際に協議の上、兄が遺産のうち8,000万円を相続することになれば、兄は税総額の8割(8千万/1億)の280万円を納めることになり、2,000万円を相続した弟は2割(2千万/1億)の70万円の税金を納めます。この方式のよいところは、兄弟が遺産をどのように分割するかによって相続税の納税額合計が変わらないことです。ですから、どのように分けたら節税になるのかなどということは考えずに分割協議が行え、自分がもらった分に応じた税金を納めればよいので、その点においては極めて合理的な方法です。
ただ、この現行方式では困ったこともあります。上記例のXさんが会社を興し事業を行っていて、その会社の株式および経営を兄が引き継いだ場合、弟にとって会社の株がいくらで評価されるかということはまったく関係がないように思えます。ところが、その会社の株式の評価額によって遺産全体の額が変わってしまいますので、相続税の総額が変わり、事業に関係ない弟にも納税額に影響が出てくるのです。もし申告後の調査で株式の評価額について増額修正が必要になったとき、相続税の総額が増え、結果として弟も追加で納税しなくてはならず、自分の相続した遺産額は変わらないのにどうして納税だけが増えるのだろう?と不公平感が残るかもしれません。
また、上記例の弟の場合2,000万しか遺産をもらえなくても相続税を納めますが、もし遺産全体が2,000万しかない人が亡くなって、その子供1人が2,000万円全部を相続したら、遺産総額が基礎控除内なので、課税されません。同じ額を相続してもある人は課税され、ある人は課税されない。このように見方を変えると、やはり不公平感を持つ人はいるでしょう。
これを解消しようというのが、改正案である「遺産取得課税」方式です。これは、兄がどれだけ相続したか、弟がどれだけ相続したか、個人単位で計算しようとするものです。この方式においては、自分の相続する分が決まれば、他の相続人がどうであろうと自分の税金は決まり、わかりやすい面もありますが、相続税の税率は累進課税方式で遺産の額が増えれば税率も高くなりますから、上記例のように兄に偏って分割がなされたような場合、相続税の納税額全体は増えます。
もしこの改正法案が通ると相続税の計算方法が根本から変わる大改正です。どうなるか我々も今後の行方を注目し、また追ってご報告したいと考えています。
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□□あれやこれや一口コラム□□
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<ミント>
ガムや歯磨き粉やお菓子などでおなじみのミントの香り、ハーブティーや精油としてもよく見かけますが、ミントっていったいどんなものなのでしょうか。
ミントはシソ科ハッカ属(ミント属、メンタ属)の総称で、ミントおよび学名メンタ(Mentha)はギリシャ神話に登場するニンフのメンテーに由来しており、和名はハッカ(薄荷)。種類は主にペパーミント系スペアミント系などに分けられています。特徴としてはペパーミント系は香りが強く、チューインガムやキャンディに多く用いられています。スペアミント系の香りは比較的弱く、甘い香りがあります。チューインガム、歯磨き粉などに用いられているのはスペアミントです。他には、リンゴの甘い香りがするアップルミントやオレンジの香りがするオレンジミント、パイナップルの香りのするパイナップルミントなど、他の果物の香りが楽しめるミントもあり園芸種だけでも20種類以上あります。
ミントはそのスーッとした香りの中にいろいろな効能を持っています。主なものは、消化促進作用、強壮作用、発刊作用、そして鎮痛作用などのほかにも、アルカリ度が高いので、胃酸の多い人、お酒好きの人、腸の悪い人に特に向いているハーブです。ミントの香りが好きな方でしたら、他のハーブとブレンドしても楽しめると思います。甘さがほしい方は蜂蜜で甘みをつけると美味しいです。また、モロッコでは緑茶と生のミントと氷砂糖を混ぜた甘いお茶(モロッコミントティー)がよく飲まれているそうです。
暑い日には天然塩大さじ1〜2杯にペパーミントやスペアミントの精油を2〜3滴落としてよく混ぜてバスソルトを作って入浴時に使ってもスーッとして気持ちがいいです。
上手に取り入れていくと暑い日も普段より少し涼しくすごせるのではないでしょうか。
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□□今週の税金クイズ□□ 正解は次回発表しますねー。
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[問題]
先週の問題の続きです。三鷹市在住で武蔵野市に医院を開いているAさん、所得税の納税地は三鷹市である自宅住所地です。武蔵野市の診療所内には事業に必要な償却資産(医療器具、家具、パソコン等)を所有しています。自宅には事業に使っている償却資産はとくにありません。Aさんは、三鷹市と武蔵野市、どちらに償却資産の申告をしなければならないのでしょうか?
@所得税の納税地である三鷹市に申告する
Aクリニックが所在する武蔵野市に申告する
B三鷹市と武蔵野市両方に申告する
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□□先週の税金クイズの解答発表!□□
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[問題]
Aさんは武蔵野市内に耳鼻咽喉科の医院を開いています。医院は武蔵野市内ですがAさんは三鷹市在住なので、武蔵野市に住民税均等割(都民税と市民税合わせて4,000円)を納める義務があります。さて、この武蔵野市へ納める住民税ですが、医院の事業所得の計算上必要経費にできるでしょうか?
@できる
Aできない
[正解]A
医院を開いていることによって武蔵野市への納税義務が発生している税金なので、医院の営業のための必要経費に該当するようにも思われますが、所得税法上「住民税は必要経費に算入しない」と規定されています。
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