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□□今週の一言□□
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第22回参院選が11日に投開票されました。毎回必ず投票している私(宮元)としては、今回の結果を受けて、今後日本経済が良い方向に進んでいってくれることを大いに期待したいところです。
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□□税務豆知識□□
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<仮装経理に基づく過大申告があった場合の取扱い>
最近、新聞やテレビでとある会社の経営者が所得隠しをしていたため脱税容疑で告発されたとか、国税庁からの申告漏れを指摘されたといった報道をよく耳にしますよね。ところで、この「申告漏れ」と「脱税」の違いをみなさんはご存知ですか?
まず「申告漏れ」ですが、これを一言で言うと経理担当者の不注意による単純な計算ミスなどによって納税額に誤差が生じてしまうことをいいます。しかしたとえ会社が意図的に不正な会計処理を行い税金を少なくしようとしたわけではなかったとしても、結果的に申告漏れが指摘されてしまった場合には罰金(過少申告加算税)が課されてしまいます。
一方、「脱税」ですが、これは会社が売上をわざと過少に計上し、費用の水増しなどを行うことで利益を少なくして税金を意図的に安くしようとする行為をいいます。これがいわゆる隠ぺい仮装行為と呼ばれるもので、これもまた当然に罰金(重加算税。過少申告加算税よりも重い)が課されます。
この両方に共通していることは税金を通常よりも少なく申告するということですが、それとは逆に会社が意図的に利益を多く計上する「粉飾」という行為によって、税金を多く納めすぎた場合には税法上どのような取扱いがされると思いますか?
「粉飾」とは会社が架空の売上げを計上し、費用を少なく計上することで会社の利益を意図的に多くする行為のことをいい、これもまた隠ぺい仮装行為の一種であるといえます。
通常、会社が誤って税金を過大に納めた場合には一定の期限内に国に請求することで納めすぎた税金を還付してもらえますが、粉飾による隠ぺい仮装行為があった場合にはすぐには還付されず、会社が粉飾に伴う不正な会計処理を自ら修正することを条件に、その後の5年間で多く納めすぎた税金をそれぞれの事業年度における法人税額から控除するという仕組みがとられており、5年を超えてもなお控除しきれない金額があるときには、そのときになって初めて納めすぎた税金の残額が還付されます。
この制度は、会社が自ら粉飾行為により意図的に多く納めすぎた税金をすぐに還付することにより、国の財政を不安定にする恐れがあるという理由から、隠ぺい仮装経理に伴う還付制度については通常の場合よりも不利に扱う規定を設けることで粉飾行為を未然に防止しようとする国の意図から成り立っているものだと考えられています。
このように隠ぺい仮装行為による不正があった場合の法人税法上の取扱いは、通常の税金を多く納めすぎたケースとは大きく異なる取扱いがされるため注意が必要です。
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□□あれやこれや一口コラム□□
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<お勧め映画コーナー最終回>
私(高橋)の最後のお勧め映画コーナーです。有名な映画で皆さんご存知でしょうが、私の大好きなイタリア映画2本、ご紹介させて下さい。
ひとつめは、1998年に公開されたロベルト・ベニーニ監督・脚本・主演の「ライフ・イズ・ビューティフル」。これはアウシュビッツに収容された父が、収容所で必死に子供を守ろうと、命がけで嘘をつく、ユーモアの中に愛と反戦の思いをこめた秀作で、アカデミー賞の外国語映画賞も受賞したベニーニ監督の代表作です。ナチスに関する映画は、スピルバーグの「シンドラーのリスト」など名作がいつもありますが、そのほとんどが事実に忠実に、つらく、悲しいユダヤ人迫害の歴史を映像化しています。ところが、この映画は、ユーモアのある優しく強い父親と、優しい母親と、かわいくてたまらない坊やのごく普通の家族が主人公で、全体が温かい愛に包まれ、暗いどころか、むしろ明るい雰囲気に仕上がっています。しかし、そのユーモアが、この家族におこる悲劇をより浮きたたせ、ナチスの差別に対する憤り、戦争の愚かさを自然に我々に伝えてくれるのです。優しいことは強いこと。このベニーニ演じる父親を見ていると、ふっとそんなことを感じたりします。そんな父親に思わず涙が流れ、家族がともに暮らせる平和に感謝してしまいます。
思わず涙してしまうといえば、ちょっと古いですがやはりイタリア映画の「ニュー・シネマ・パラダイス」に並ぶものはなかなかありません。この映画は、作り手側の「どうだ!」と言わんばかりの泣かせのテクニックにやられた、という気がしないわけではないですが、若い時に映画をみたときのワクワク感や感動を思い出し、映画好きにはたまらない郷愁をそそられる作品です。
人は、誰しも自分の好きなことを仕事にできたらどんなにいいだろうと思う瞬間があるのではないでしょうか。私も学生時代は映画が好きで、映画に関係する仕事につけたらどんなにいいだろうと夢を描いたものです。しかし現実は、一般企業に就職し、その後もまったく別の方向を進むことになりました。でも中には、子供の時からの夢を支えてくれる人に恵まれ、それをかなえることができる数少ない人もいます。そんな一人である映画人、主人公トトが、大人になって、自分を支えてくれたある恩人のあふれる愛に間接的に出合った時、どんなに感謝し、感動するか。ラストの、昔のフィルムをつなげたあるシーンの連続は、そんなことが表現されているのではないかな、と思います。まだご覧になったことのない方は、ぜひ映画で確認してみてください。
私も須田会計事務所で様々な方々との出会いがあり、税理士として成長でき、とても幸せでした。ここに皆さまとの出会いを感謝し、最後のお勧め映画コーナーの締めくくりにします。ありがとうございました。
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□□今週の税金クイズ□□
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[問題]
隠ぺい仮装行為に関する問題です。
次のうち隠ぺい仮装行為に該当するものはどれでしょうか?
@会社が売上げ金額の一部を取引先の経理担当者と相談して意図的に改ざんした場合
A会社が所有するかなり老朽化の進んだ機械装置について意図的に減価償却費を過少に計上した場合
B会社が店頭に売れ残っている棚卸資産について売れる見込みがないため意図的に過少評価して評価損を計上した場合
正解が気になる方はこちら↓
http://www.suda.gr.jp/quiz.html
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□□先週の税金クイズの解答発表!□□
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[問題]
源泉所得税の納期の特例は、従業員が常時10人未満の会社や個人事業者などが選択できる制度です。
ここで問題です。Aは建設業を営む個人事業主です。日雇労働者が通常5人から10人いますが、常雇の従業員が8人である場合には、申請書を提出すれば納期の特例を適用出来るでしょうか?
@出来る
A出来ない
[正解] A
この「従業員が常時10人未満である」かどうかは、従業員の数が平常の状態において10人未満であるかどうかにより判定することとされています。ポイントは労働者を日々雇い入れているかどうかです。Aの営む建設業のように、労働者を日々雇い入れている場合には、たとえ常雇人の人数が10人未満であっても、日々雇い入れる者を含めて従業員が10人以上となるので、この特例を適用することは出来ません。
なお、労働者を日々雇い入れていない者が繁忙期だけ臨時に人を雇い、一時的に従業員が10人以上となる場合には、従業員は常時10人未満であるものとされ、納期の特例を適用することが出来ます。
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☆今週号の編集責任者は 宮元健志 & 高橋英江 でした。
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