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不動産の売却税務-税負担軽減措置のしくみ

不動産の売却利益に対する税金は、一定の条件に該当すればかなり軽減されるということですが、具体的にはどのような負担軽減の特例措置があるのでしょうか。その概要について説明してください。

不動産の譲渡税に関する軽減措置は、大別すると「特別控除」と「圧縮記帳(課税の繰延べ)」、さらに「税率軽減」という三つのやり方があります。

解説

1.譲渡税負担軽減のしくみ
不動産の譲渡益に対しては、前回までにご説明したように、その所有期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」として原則として譲渡益の39%、所有期間が5年を超えるときは「長期譲渡所得」として譲渡益の20%の税金(所得税+住民税)が課税されます。いずれにしても大変重い税金ですから、この負担を無差別に強いることは、場合によっては合理的でありません。
そこで一定の要件に該当するときは、その負担が軽減されることになっています。そのやり方ですが、具体的には次の三つの方法があります。
(1) 特別控除…居住用財産を売却したときは、その譲渡益から三千万円の特別控除額が控除してもらえます。このように、売却利益から一定の金額(特別控除額)を控除して課税対象額を少なくするのが、第一の方法です。
(2) 圧縮記帳(課税の繰延べ)…Aという不動産を譲渡してBという不動産を購入した場合、税務の計算においてはそれらの取引をいっさい認識しないやり方です。したがって、実際にはAという財産がBに入れ替わっているのに、計算上はAがそのまま残っているように考えます。このためAの譲渡時点では売却益が認識されないので、特別控除と異なり金額に上限なく税金はかかりませんが、次にBを売却したときは、初めてAを売却したかのように計算が行われるため、その時点で多額の売却益が計算される危険性もあります。
(3) 税率軽減…三番目の方法は、適用する税率そのものを引き下げるやり方です。
たとえば本来30%の税率が適用されるところを、一定の条件に該当する場合には20%に引き下げるというような特例を設ければ、負担税額は単純に3分の2に軽減されるわけです。

2.実務における取り扱い
たとえば住宅の売却を例に取ると、前述のように居住用財産の三千万円特別控除は上記(1)に該当しますが、それ以外にも(2)の特例として居住用財産の買い換え特例という制度が設けられていますし、さらに(3)の税率軽減制度もあります。そこで問題は、対象とする事案がどの特例の適用要件を満たすのか、またどの特例の適用を受けるのが有利であるのか、あるいは組み合わせて適用が受けられるのはどのような場合なのか、といったことを知ることです。以下ではこれらの点について考えていきたいと思います。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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