ページの先頭です

財務Q&A

税務Q&A

ホーム > 税務Q&A一覧 > 資産税のQ&A一覧 > 不動産の売却税務-居住用財産とは

不動産の売却税務-居住用財産とは

私は東京に住宅を所有していますが、会社の都合で4年前から青森に単身赴任しています。留守宅には妻と子供が居住しており、私も月に2回ほどは帰宅しているのですが、今回、東京の住宅を売却して、家族を青森に呼ぶことを計画しています。聞くところでは、所有者が居住していない住宅は居住用財産の三千万円控除の対象にならないということですが、本当でしょうか。

居住用財産の課税の特例には、不正防止のため厳しい適用要件が付されていますが、例外的取り扱いがないわけではありません。下記のような取り扱いを確認し、課税の特例を積極的に活用しましょう。

解説

1.所有者が住宅に居住していないケース
質問のように住宅の所有者がその住宅に現実に居住していない場合であっても、生計を一にする家族がその留守宅に居住しており、勤務等の事情が解消したときはその家族と起居を共にすることとなると認められる場合には、その住宅は所有者の居住用財産として認められます。
また家族ごと転居してしまった場合でも、その留守宅に両親が居住するなどのケースでは、下記のすべての要件を満たせば居住用財産として認められます。
①その家屋はその所有者がかつて居住していたもので、その後引き続き、その扶養親族が居住用として利用していること
②その所有者が現在居住している家屋が、その者の所有する家屋でないこと

2.家族共有の住宅を売却した場合
夫婦や親子で住宅を共有し、共有者が皆その住宅に居住している場合、住宅を売却をしたことによる所得は、その共有持分に応じてそれぞれの所有者ごとに計算することになりますが、譲渡益から控除する三千万円特別控除は、次のように計算します。
①敷地は親で、建物は子供が所有している場合のように、土地と建物の所有者が別々である場合→三千万円特別控除は、全体で1回のみ控除できます。この場合、特別控除はまず建物の売却益から控除し、控除しきれない残額がある場合にのみ、その残額を土地の譲渡益から控除します。
②共有者が、土地と建物のそれぞれに持分を有している場合→共有者がそれぞれ居住用財産を売却したことになりますので、各人の売却益からそれぞれ三千万円の特別控除額が控除できます。

3.居住期間が短いケース
住宅に居住を開始してから短い期間でこれを売却した場合、三千万円特別控除が適用できるかが問題となりますが、税法の条文上は「何年以上住まないと特別控除は適用できない」というような規制はありません。したがって、たとえ3ヶ月の居住でも控除は可能ですが、この規定を悪用するケースが後を絶たないため、短期間での売却は税務調査の対象とされる可能性が高くなります。せっかく取得したマイホームを何故すぐに売却しなければならなくなったのか、その辺りの事情を合理的に説明できるようにしておく必要があります。

4.住宅の一部を賃貸していたケース
会社を経営している方が、自宅の一部を倉庫や事務所などとして会社に賃貸し、家賃を受け取るのはよくあるケースです。ところがそのような住宅を売却する場合には、居住用でない部分については三千万円特別控除が適用できませんので、注意が必要です。したがって自宅の売却予定があるのなら、賃貸などの利用は取りやめた方が有利です。ただし、賃貸部分の床面積が全体の1割以下の場合には、建物の全体を居住用として取り扱ってよいことになっています。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

ページの先頭へ