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不動産の売却税務-収用等の特例

私の所有する土地が、東京都の道路計画予定地の中にあります。今回、この計画が事業決定され、都の買収担当者から土地を売却するように要請を受けていますが、これに応じた場合、私にはどのような税金がかかってくるのでしょうか。なおこの土地は、今から20年ほど前に2千万円で購入したもので、今回の買い取り価格は4千万円とのことです。

公共事業などに財産が買い取られる場合には、一定の条件を満たせば、税負担が大幅に軽減される特例が用意されています。中でも最も一般的なものは5千万円特別控除で、売却益が5千万円以下なら税金はかかりません。

解説

1.収用等の場合の税負担軽減のしくみ
道路や鉄道・空港などの整備のため、私有財産が公共事業者に強制的に買い取られることがあります。これは公益のためには仕方ないことですが、望まずして実現した譲渡益に通常の譲渡税が課税されたのでは、あまりにもかわいそうです。
そこで収用交換等により発生した譲渡所得に対しては、次のような税負担軽減の特例が用意されています。
①5千万円特別控除…これは、収用により発生した譲渡利益から5千万円の特別控除額の控除を認めるというもので、したがって質問のケースのように譲渡利益が5千万円以下の場合には、納税額は生じません。
②交換処分等の課税繰延制度…公共事業者が代替地を用意してくれる場合のように、金銭以外の財産で補償を受けるときは、その部分には課税しないのがこの「課税繰延制度」です。金銭で補償を受けた場合にも、その対価で自ら別の土地などを購入したときには、この特例の適用を受けることができます。
ただし現物補償を受けた場合に差額清算金を受け取る場合や、自ら代替資産を購入した場合で補償金に余りが生じるときは、その差額部分は課税対象となります。
③税率の軽減制度…上記特例を適用しても課税所得が生じるときは、納税義務が生じますが、その場合に適用される税率は、一般の場合に比べてかなり軽減されることになっています。

2.各特例の得失
5千万円特別控除は、収用などにより発生した譲渡益に対する最も一般的な負担軽減措置です。その計算のしくみも、算出された売却利益からとにかく5千万円を控除してしまうという非常にシンプルなもので、公共事業に財産を買い取られた人なら誰でも適用が受けられる制度です。
したがって収用等による所得が生じた場合には、まずこの5千万円控除の適用を検討することになりますが、この制度には大変重要な適用要件が一つあります。それは、公共事業者から買い取りの申し出があってから6ヶ月以内にこれに応じないと、その適用が認められないということです。「ゴネ得」を排除するための、いわば牽制措置ですが、十分注意する必要があります。
なお、譲渡利益が5千万円を大幅に超える場合や6ヶ月以内に買い取りに応じなかった場合には、特別控除に代えて課税の繰延制度の適用を受けることになります。この特例は、5千万円という金額の制限がないというメリットを有する反面、既にご説明した居住用財産の買い換え特例と同様に、代替取得した財産を将来売却することがあると、その時点で多額の課税所得が生じる危険性をはらんでいます。いずれの特例が有利かは、慎重に判断する必要がありそうです。
(本文は平成22年4月1日現在の法令による)

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