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キャッシュフローとは何か-その3

売掛金や買掛金とは何ですか。それらはキャッシュフローとどういう関係がありますか。

売掛金とは、販売対価の未回収額です。
売掛金の増加と買掛金の減少は、キャッシュフローを圧迫します。

解説

1.売掛金と買掛金
前回、買掛金は資金だという話をしましたが、そもそも買掛金とは何でしょう。また、なぜ買掛金は資金なのでしょうか。その答えは、「現金主義と発生主義」という会計上の考え方にあります。
町の八百屋さんのように、現金と引き替えにお客さんに品物を渡す商売であれば、今日の入金額が今日の売上額です。つまり現金の流れと売上の計上のタイミングが一致するわけですが、いわゆる「掛け」で販売する場合には、どの時点で売上を計上すればいいのでしょうか。①相手から注文を受けたとき、②品物を納めたとき、③代金を請求したとき、④その支払いを受けたときなど、様々な時点が考えられますが、一般的には②の納品時に売上を認識することになっています。これを「引渡し基準」といい、取引が発生した時点(入金がない時点)で経理する考え方を発生主義会計といいます(これに対しお金の動きに沿って経理するやり方を現金主義といいます)。そして発生主義で計上した売上の代金請求権を「売掛金」と呼び、仕入れに対するそれを「買掛金」と呼んでいるのです。現金主義では、お金をもらえるまで売上は全くないものと考えるのですから、常に売上の計上が遅くなります。これに比べると、発生主義では商取引の流れにリンクして経理できますので、より合理的な方法といえるでしょう。しかし同時に、売上を計上して利益が出ても、その売掛金が回収できるまでは資金とはならないという点に注意する必要があります。

2.利益と資金
そこでいよいよ本論に入るわけですが、利益と資金のズレについて考えるために、次の算式をご覧下さい。
利益=売上-売上原価-経費
資金=入金-出金
この式をご覧頂ければ分かるように、利益は収益から費用を差し引いて算出するのに対し、資金は入金から出金を差し引いたものとなります。当たり前の話ですが、これを簡単な計算例で示してみましょう。
<前提> 商品100万円を掛けで販売し、このうち60万円を回収した。
上記商品は仕入先から70万円で仕入れたもので、すべて現金で支払った。
<計算> 利益=100万円(売上)-70万円(仕入)=30万円
資金=60万円(入金)-70万円(支払)=-10万円
上記の例では、損益計算書では30万円の利益が出ているのに、お金は10万円足りないことが示されています。利益の30万円と資金を一致させるためには、売掛金40万円を早く回収する以外にありません。
つまり、売掛金が発生する(あるいは売掛金の残高が増えていく)ということは、キャッシュフローを圧迫することになるのです。これに対して、上記の例で販売代金の100万円はすべて現金で回収し、仕入れ代金の70万円はしばらく払わなくてもよい(買掛金70万円が発生)とすれば、一時的ではありますが、手許に100万円の現金が残る計算になります。つまり、買掛金の発生(あるいは増加)は、資金に余裕を持たせる効果を生みます。新規の融資を受けることが難しくなった今日、売掛金の早期回収と買掛金の支払条件の見直しは、事業のキャッシュフローを考える上で重要な課題といえるでしょう。

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